痛っ!
電車内で、足を踏まれた。
専門学生か大学生か…、ひょろっとした男性だった。
スマホに夢中になっていて、電車の揺れで躓いてしまったらしい。
学生:「すいません」
ぼく:「いえ」
とんだ災難だったなぁ、と思いつつ学生の方に目を向けると、またスマホに夢中になっている。
おいおい。
おまえがバランスを崩したのは、なぜか分からんのか。
スマホに夢中になってるからだよ。
さすがに頭にきたぼくは、学生の胸倉をつかんで、
「スマホやってるから、人の足踏んだんじゃねーのか!どうなんだ!!」
と学生を捻りあげて、次の駅で学生をおろした後、公共のマナーというものについてベンチで15分くらい延々と説教させていただいた。
…なんてことはなくですね。
どうせまた躓くだろうから、一歩ひいた場所に立つことにした。
電車が揺れると案の定、学生はバランスを崩した。
馬鹿野郎。
ちったー頭を使いなさいよ。
まったく…。
見知らぬ学生にこんなことを言うのは大変失礼ながら、就活に失敗するのはこういう学生なんだろうなと思ってしまった。
・電車内で躓き、他の人の足を踏んでしまった。
・原因はスマホに夢中になっていたからである。
という、ごく当たり前の自己認知ができないのだろう。
ただ、バランスを崩して足を踏んでしまったという眼前の事象だけを認識して、対処している。
彼にとっては「すいません」と謝った時点で、すべてリセットされているのだろうな。
この流れでもう一回、同じ人の足を踏んでしまったら、わざとじゃなくても流石に失礼だとか、そんな考えはないのだろう。
企業が求める「 地頭の良さ」とは、案外、そういった日常のなかに現れる。
以前、雑誌かテレビのインタビュー記事で、ダウンタウンの松本人志がエレベーターの乗り方について、こんなようなことを言っていた。
階数ボタンを押してから、閉めるボタンを押すやつは要領が悪い、と。
なぜならエレベーターは閉まってから動き出すのだから、まずは閉めるボタンを押して、ドアが閉まるまでの間に階数ボタンを押したほうがスムーズだろう、と言うのである。
ごもっとも。
頭の回転が優れている人は、日常レベルでこうした効率的だったり正しかったりする行動を無意識にとっている。対して、頭の回転が遅い人は、やることなすことが「スカ」なのだ。
ちりも積もれば1年でどれだけの機会損失になるだろうか。だから企業は地頭の良い学生が好きだし、地頭の悪い学生には容赦なくお祈りメールを送りつける。
就活の面接とは、アドリブの反射神経を見ているようで、その実、一言一句、一挙手一投足から、日ごろの行動パターンを見透かそうとしている場である。
就活生は、自分の日頃の行動をよく思い返してみよう。要領が悪いタイプだという自覚があるなら、自己PRで語れる武勇伝づくりや自己分析なんていいから、先にその要領の悪さを直そう。話はそれからだ。
躓くのは、電車の中でだけにしてもらいたい。