キャリア系の仕事でよく話す三木くんって友達がいる。
三木くんは音楽にかなり精通している。
今日社長にお寿司をご馳走になりながら三木くんと音楽の話をしていて、
「とにかくバズる(噂になる)ことだけを目的にもう僕自分でアーティスト活動してみようかなって思うんすよ」
と三木くん。
三木くんは超有名バンドと一緒にツアー回ったり、自分でもロックDJをしてるんだけど、もともとバンドマンなので歌も歌えるかなりのツワモノ。
「最近流行ってるバンドってやっぱり何かに寄ってるんすよね」
と三木くん。
寄ってるってのは例えば、
完全に女々しい歌詞だけを書いたりとか、
サブカル系の女子に受けるファッションで統一してるとか、
歌詞に「ライン」とか「既読」とか入っちゃうくらい中高生がイメージしやすい歌だったりとか、そういうこと。
つまり誰にウケたいかがはっきりしてると。
音楽とスポーツは夢の叶え方が全くちがう。
スポーツは、うまくなければ仕事にならない。うまいから勝つ。勝つから評価される。評価されるから、プロになれる。
じゃあ歌手は?
歌がうまい人なんて世の中ごまんといる。逆に、歌が大してうまくないのにアーティストとして成功してる人もたくさんいる。
つまり、歌がうまければ歌手になれるわけじゃない。ここ、かなり重要なところ。
じゃあ歌手はいかにして歌手なのか?
歌手は、人気が出ないと歌手になれない。
逆に言えば人気が出るということのみで決まる。一定数のお客さんが喜ぶことが大事だということ。歌のうまさで一番になる必要もない。
つまり歌手は、単なる歌の技能ではなく「ファンをつくる」というスキルで歌手になるんだということ。
例えば、きゃりーぱみゅぱみゅは今でこそ普通にかわいい女の子だけど、デビュー当初はかなりぶっとんだブランディングをしてた。完全にターゲットが明確になっていてその人たちが喜ぶようになっていた。メジャー路線にのってきたら、馴染むようにシフトしていってる。より多くの人に受けるために。
誰をターゲットにして、その人がどうしたら喜ぶのか。どこにまず火がつくのか。それを徹底的に再現する。それが出来ると、ファンが出来る。ファンが出来ると仕事になって、プロになっていく。つまり、マーケティングってことだ。
スポーツはお客さんを喜ばせることじゃなくて、勝つことが大事。その結果お客さんが喜ぶわけだけど、試合中お客さんに媚びても仕事にはならない。勝たないといけない。完全なる絶対評価。とことん技能を磨いて結果を出す必要がある。
ここには大きな違いがある。
歌手は完全にビジネスとしての側面があるということ。お客さんは誰で、どこにいて、どうしたら喜ぶのか。マーケティングを理解していることで夢の実現にぐっと近づく。とことん歌を練習しまくってうまくなったら歌手になれるわけじゃない。
そこにどんな価値が乗っていて誰が喜ぶのかが大切。
「アーティスト」というくらいだから芸術的な側面があり、その人が表現したいことがあって、それがにじみ出ることによってファンがつくということはある。
それは大いにある。むしろ俺はそれがしたい。
でもただ歌を練習してたらいいかというと、そうじゃない。もっと包括的に見ることで広がる可能性がたくさんあるということ。
俺は何で差別化するかっていったら、やっぱり生き様が出てることだと思んだよね。
スポーツ選手と歌手では夢の叶え方が違う。
そういうお話。
おしまい