「思い込みの力」=プラシーボ(プラセボ)効果とは、どんなものなのか? プラシーボ(プラセボ)効果は、恋愛などの日常生活に使えるのか? 調べてみたら、驚愕の事実が出てきました!
illustration MiyaZoe
心理スキルを日常生活に使うべく日々研鑽を重ねる「心理誘導研究所」。
今日も博士と助手の元に、一通のお便りが届いたようだ……
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無残に散った私の恋、その悲し過ぎる失敗とは?
From コザック(22際 / 女性 / 販売職)
これは今から3年前、アパレルブランドで販売の仕事をしていたときの話です。
当時私はショッピングモールで働いていて、その店の店長とつきあっていました。その彼が超イケメンで私はデレデレだったのですが、同じ店で働くカップルの定めとして休みを同時に取ることは難しく、だから日中のデートは2ヶ月に一度で、それだけが不満でした。
事件が起きたのは待望の日中デートの日。 その頃ちょっと倦怠期だったので、夜は得意の手料理で惚れ直してもらおうって意気込んで、朝早くから起きて仕込みをしつつ、掃除と洗濯をやりました。
実は私は晴れ女で、休みの日はほぼ晴れるのです。そのときも、お休みの前の日は雨なのに私のお休みは晴れるっていうのが三週続いてて、自分で自分の晴れ女ぶりに驚いてました。
デートの日の前の日も、台風が近づいている影響で大雨だったのに、朝起きたら台風は通り過ぎて素晴らしい青空。さすが晴れ女って嬉しくなり、洗濯物をベランダに干すときなんか知らないうちに歌ってました(笑)
そのとき 携帯がなったんです。
見てみたら彼からだったので「は〜い、ダーリン!」って上機嫌で答えたんですね。そしたら「ふざける元気があるのなら、事故とか病気ではないね」と彼。
は? どういうこと?
っていうか、え? まさか? まさか??
まさか!!!
今日、お休みじゃない???
手帳を確認したらお休みは次の日で…「すいません。いますぐ向かいます!」って慌てて職場に行ったのですが、彼、猛然と怒ってて…倦怠期だったこともありそれがキッカケですごく冷たくなり、結局別れることになってしまったという……(大泣)
私の悲し過ぎる失敗談です。
彼女の悲惨は、あなたの側にも転がっている!
プラシーボ(プラセボ)=Placeboというのは、薬効成分を含まない偽薬のことを指します。そして、薬効成分を含まない偽薬を薬だと偽って投与されたとき、病状がなぜか良好に向かってしまうような効果を、プラシーボ(プラセボ)効果といいます。
わかりやすい例を挙げると、「痛み止めの薬です」と言ってなんの効力もないニセの薬を飲ませた場合に実際に「痛みがなくなる」効果のことで、一般的には30%程度にプラシーボ効果が現れるとされています。
つまり偽薬にも関わらず、痛み止めの薬だと思い込むことで10人に3人は「痛みがなくなる」わけです。これは小さくない数字ですので、科学的・医学的にプラシーボ効果が立証されているわけではないのに、実際に医学の現場で、でん粉やラクトースや生理食塩水が偽薬として使われているようです。
身近な例では「痛いの痛いの飛んでけ!」で痛みが少なくなった経験のある皆さんは、すでにプラシーボ効果の力を知っていることになりますし、別の例を挙げれば、ひところ流行った「痩せるスリムジェル」を塗るとおなかが引っ込んだ(気がする)のも、プラシーボ効果と言っていいでしょう。
プラシーボ効果は、「効かないはずのもの」が効いて、好ましいプラスの結果が得られた場合のことを言います。これとは逆に、たとえば偽薬を飲んで病状が悪化するなど「効かないはずのもの」が好ましくないマイナスの結果をもたらした場合は、ノーシーボ効果(ノセボ効果)と言います。
ちょうど反対の意味をなすプラシーボ効果とノーシーボ効果ですが、衝撃の事実が確認された実例があるので、それをご紹介しましょう。
*少しマニアな話になりますが、同じように対を為しているものに、ピグマリオン効果とゴーレーム効果があります。
嘘だろう? プラシーボ効果はただの暗示のはずじゃ…
1978年、米カリフォルニア大学のジョン・レヴィン率いる研究グループは、親知らずを抜歯後の患者40人へ、痛み止めと称した偽薬を投与した。これにより、全員ではないものの大半の患者が痛みの緩和を報告。その1時間後、レヴィンはまたもや“薬”として生理食塩水を処方。ただし、17人の患者には痛み止めの効果を失くすナロキソンを施した。すると、ナロキソンを投与された患者たちは、再び痛みを訴えるようになったという。
「信じることの“脳力”:痛みの緩和だけではなく心地良さを増幅させるプラシーボ効果」TEXT BY SANAE AKIYAMA
1,親知らずを抜いた40人に、「痛み止め」と言って偽薬を与えた
2,大半の患者が「痛くなくなった」と報告
3,1時間後、23人に生理食塩水を、17人に痛み止め効果を失くすナロキソンを投与
4,ナロキソンを投与された患者たちは、痛みを訴えるようになった
有名な実験じゃが、こういうのもある。
や、や、火傷までできるんですか?
ニューヨークのコロンビア大学医学部のハーバート・スピーゲルが実験したことだ。彼はイマジネーションを利用する実験で、米国陸軍のある伍長を被験者にした。彼は、この伍長に催眠術をかけて催眠状態にしたうえで、その額にアイロンで触れる、と宣言した。しかし、実際には、アイロンのかわりに鉛筆の先端で、この伍長の額に触れただけだった。
その瞬間、伍長は、「熱い!」と叫んだ。そして、その額には、みるみるうちに火ぶくれができ、かさぶたができた。数日後にそのかさぶたは取れ、やけどは治った。この実験は、その後四回くり返され、いつもまったく同じ結果が得られた。
さて、五度目の実験の時には、状況はやや違っていた。この時には伍長の上官が実験に同席していて、この実験の信頼性を疑うような言葉をいろいろ発していた。被験者に迷いや疑惑を生じさせる状況のもとでおこなわれたこの時の実験では、もはや伍長にやけどの症状が現れることはなかった。
「心の潜在力プラシーボ効果」 広瀬弘忠 より
お待たせしました。恋愛での使い方です。
プラシーボ効果を恋愛に活用するには、例えばこんな方法があります。
まずは自分が大好きになれる恋愛の本を探しましょう。それはノウハウ本でもいいですし、小説でもいいですし、人によってはナンパの指南書かもしれません。いずれにしても「この本を読むと、自分が恋愛上手になれる気がする」本を探してください。
本が見つかったら少しづつでいいです。本に書いてあることを実践してみましょう。すぐには上手くいかないかもしれませんが、きっと必ず何か変化があるはずです。その変化はあなたを前向きにするでしょうし、前向きになれば自分磨きにも拍車がかかります。となると、恋愛の成功率も上がっていきます。
「ちょっと彼(彼女)をモノにできそうだっ!」と思う気持ちになっていくわけですね。恋愛の臆病さから治癒するわけです。 このように「ポシティブな心理をうまく活用する」ことで単なる思い込みから現実味を引き出せるように、という形で使っていただければ毎日がより、充実すると思いませんか?
ところで博士、もうひとつ質問なのですが。
プラシーボ効果のまとめ
* プラシーボ効果とは、偽薬など「効かないはずのもの」によるプラスの効果のこと。
* 「効かないはずのもの」によるマイナスの効果は、ノーシーボ効果という。
* プラシーボ効果もノーシーボ効果も、本人の自覚なしに体の機能や知覚を変える。
* 日常生活で上手く使うには「ポシティブな心理をうまく活用する」こと。
* 人間の脳に秘められた思い込みの力を信じよう!
付録:岸★正龍の「僕もやりました」
その頃の定期は、改札で駅員さんに見せて通るのですが、定期が切れているのにまったく気がついていないと、切れた定期を堂々と見せても駅員さんはなにも言わず、そのまま改札を通れてしまってました。最長では切れてから3日間、通っていたことがあります。
これ、個人的には「思い込みの力」=プラシーボ効果だと思っています。だって、一旦切れていることに気がついてしまうと、どんなに技を駆使してすり抜けようとしても、百発百中で駅員さんに発見されてしまいましたから(笑)