北朝鮮による4回目の核実験に対応するため、韓国政府は8日正午から対北拡声器放送を全面再開すると決めた。さらに、戦略爆撃機をはじめとする米軍の戦略資源(兵器)の韓半島(朝鮮半島)配備など、軍事・経済・外交面における立体的かつ多角的な対応の検討に乗り出した。
米国の戦略部隊を韓半島に緊急出動させるという案は、比較的手軽に使える軍事的カードとして推進されている。有事の際、北朝鮮に核の報復を加えたり主席宮殿など戦略目標を精密攻撃したりできる米軍の戦略資源としては、B52戦略爆撃機やB2ステルス爆撃機、F22ステルス戦闘機、横須賀に配備されているロサンゼルス級攻撃型原潜、原子力空母「ロナルド・レーガン」をはじめとする米第7艦隊の空母打撃群などがある。米軍戦略部隊の出動は、対北拡声器放送の再開に伴って北朝鮮が軍事的挑発を行う可能性が高まるのに対し、これを抑制する手段として韓国軍当局が強く要請しているという。北朝鮮は、B52とB2が韓半島上空で訓練を行った際、極めてデリケートな反応を示した。
また韓国統一部(省に相当)は7日、韓国側の要員が開城工業団地に出入りすることを大幅に制限すると決めた。当該要員の身辺の安全と北朝鮮に対する圧迫が目的だ。韓国政府の関係者は「これは初動措置で、国連安全保障理事会の制裁が出たら、追加の措置を取ることもあり得る」と語った。一部には、今回の措置が同団地の一時的な閉鎖につながるという見方もあるが、まだ可能性はそれほど高くないと予測されている。韓国政府は、北朝鮮による哨戒艦「天安」爆沈事件(2010年3月)や延坪島砲撃挑発(同11月)、3回目の核実験(13年2月)の時も、同団地への出入りを制限したことはない。同団地の閉鎖は、13年2月の核実験の直後、韓米連合軍事演習に反発して北朝鮮が自ら門を閉ざしたのが唯一のケースだ。当時、同団地は134日にわたって閉鎖され、この間に団地の入居企業は1兆ウォン(現在のレートで約982億円)を超える被害を受けた。南柱洪(ナム・ジュホン)京畿大学教授は「開城工業団地は南北間の最後のつながりで、団地の閉鎖は韓国にとって最後のカード。このように極端なカードを切るべき時なのかどうか、考慮すべき」と語った。このほか統一部は、民間交流の許容や対北支援の問題など南北協力事業についても、当分再検討することとした。