15周年を迎えた北海道・札幌に拠点を置く音楽集団「I’ve」が、記念イヤーの締めくくりとして、ガールズ・コンピレーション・アルバム「The Time ~ 12 Colors ~」をリリースします。
15年前、PCゲームメーカー・Keyが主題歌制作にI’veを起用したことで、驚異的なクオリティアップをはかり他を圧倒。 Keyの人気にあやかりたい各メーカーが競ってI’veサウンドを採用したほどでした。
I’veは確実にPCゲーム音楽業界のクオリティレベルを引き上げたといっても過言ではない存在。彼らを目標とする音楽制作チームが続々と現れ、PCゲームの音楽は独自のスタイルを確立して発展していくことになります。
そんなI’veの勢いはPCゲーム業界だけにとどまらす、アニメシーンにも影響を与えました。I’veの歌姫であるKOTOKOさんをアニソン業界に送り込んだ後、川田まみさん、島みやえい子さんと次々に所属アーティストをメジャーデビューさせていきます。
【I’veが輩出したアーティスト】
KOTOKO(映画「リアル鬼ごっこ」主題歌、TVアニメ「アクセルワールド」エンディングテーマ)
川田まみ(TVアニメ「とある魔術の禁書目録2」オープニングテーマ、TVアニメ『灼眼のシャナ』オープニングテーマ)
島みやえい子(映画「ひぐらしのなく頃に」主題歌)
MELL(TVアニメ「BLACK LAGOON」 オープニングテーマ、TVアニメ「ハヤテのごとく!」EDテーマ)
詩月カオリ(TVアニメ「ななついろ★ドロップス」オープニングテーマ)
Larval Stage Planning (TVアニメ「天体のメソッド」オープニング)
これらアーティストたちを制作面で支えてきたクリエイターは6人。
「I’ve」の中心人物にして、プロデュースから作曲編曲、エンジニアまでもこなす高瀬一矢さんと中沢伴行さん。
オリジナルメンバーで、アーティストでもあるクリエイターC.G mixさん。ダンスミュージックを得意とするそれまでのI’veに、パンクの要素を持ち込んだ尾崎武士さん。某大手ゲーム会社で音楽制作をしていたキャリアを持つ井内舞子さんが正式に加わり音楽の幅が広がりました。
そして、昨年からNAMIさんは「Larval Stage Planning」のメンバーからクリエイターに転身してI’veの音楽に若さを吹き込んでいます。
今回、個性豊かな「I’ve」のクリエイター陣に、これまでの活動を振り返りながら、新作「The Time ~ 12 Colors ~」収録の全12曲の書き下ろしに挑戦した経緯などを聞かせてもらいました。インタビューは北海道札幌市のI’veスタジオで行い、井内舞子さんはSkype通話での参加となりました。
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※左から尾崎武士、NAMI、高瀬一矢、C.G mix、中沢伴行。右下、井内舞子
――I’veとして活動する前は、ユーロビートを制作されていたそうですね。
【高瀬一矢】
1995年ごろからダンス系のコンピレーションCD、「THAT’S EUROBEAT」「ダンスマニア」などの曲を手がけてきました。その頃は、C.G mixとふたりで、1ヶ月に50曲作ってました。
通信カラオケのデータ制作という仕事で中沢が参加するようになりました。他にもゲーム会社の外注で、BGMも作ってました。とにかくいろんな仕事をしていました。
――I’veとして活動するきっかけは何だったのでしょう?
【高瀬】
ゲーム会社とお付き合いするようになって、自分たちでもPCゲーム、いわゆる美少女ゲームを作ろうということになりました。実は、2タイトルほど発売したのですが、あまり売れませんでした。
でも音楽面は注目されて、PCゲームブランドKeyの「Kanon」「Air」の主題歌でアレンジを担当することになり世間から注目されるようになりました。その流れで、いろんなメーカーさんから主題歌を作る仕事をいただいたり、アニメ「おねがい☆ティーチャー」の音楽にも携わることになりました。
【C.G mix】
ボクは、I’veとして活動を始めた当初の2年間ほど制作から離れている時期がありました。普通に社会人してました。戻ってみたらえらく流れが変わっていてビックリしました。
【高瀬】
1999年には、いろんなPCゲームメーカーで担当した主題歌を集めたアルバム「regret」を発売しました。それが女性ボーカル曲を中心に集めたコンピレーション・アルバム「I’ve GIRL’s COMPILATION」シリーズの第1弾でした。
――あとからI’ve加入されたみなさんはどういうきっかけで参加することになったのでしょう?
【尾崎武士】
僕は「COWPOKES」というバンドでギターを弾いていて、アルバムを出すときにプロデュースしてもらったのがきっかけです。
【井内舞子】
もともと私は、中沢クンがI’veに参加するずっと前からチャット友達だったんです。出合い系チャットじゃないですよ(笑)
【中沢】
たまたま音楽雑誌のお部屋訪問のようなコーナーに舞子ちゃんが載ってるのを見つけて、一緒に仕事しようと声をかけました。
【井内】
それでお手伝いするようになりました。最初は主にBGMの制作を担当してました。他にもいろいろやったんですけど、I’veのプロフィールには、初めてやったI’veのお仕事は「新人看護婦 美帆」ってことになってますね(笑)
【NAMI】
私は、舞崎なみとして2011年に「LSP(Larval Stage Planning)」でメジャーデビューして、2013年まで活動して、卒業後、高瀬さんの元で作曲編曲の修行をして、昨年、リミックスの仕事でクリエイターデビューしました。聞いてきた音楽が全然違うことが衝撃で、先輩方が聞いてきた音楽を聴くことからはじめました。
【高瀬】
オレに対して、このベースとキックの絡みはどうなってるんだ、このシンセのフレーズはどうなってるんだって、そういうこと聞いてきた女の子は、NAMIちゃんが初めてだったんですよ。
【井内】
え?高瀬さん、私も聞きましたよ。
【一同】(笑)
【高瀬】
骨があるなと感じたのでクリエイターとして育てることにしました。
【NAMI】
最近、小学生の時遊んでいたダンスダンスレボリューションが高瀬さんが作った曲だったって知りました。
――加入される前は、I’veのことをどんな風に見てました?
【NAMI】
仙人みたいな暮らしてるって思ってました。よく分からないし、札幌にいるって言われても…。
【尾崎】
確かに仙人みたいな暮らししてるよ。
【NAMI】
でも中沢さんが普通にアークス(*1)で買い物してるって聞いて衝撃を受けたことがあります。
(※1)スーパーアークス…札幌に多数あるスーパーチェーン
【中沢】
そりゃするでしょ「笑)
【NAMI】
それぐらい、よく分からない集団だったんですよね。ファンからしたら、みんな黒いスーツ着て、黒いサングラスして、オフィスでピアノを弾いているって勝手に思ってました。アンダーワールドとかそういう感じなのかなって。
【高瀬】
あいつらだって自宅行ったらこんな感じだよ(笑)
【中沢】
でも、謎とは言われてましたよね。
【高瀬】
まぁね。謎にしてたしね。
【井内】
「謎の音楽集団」ってキャッチフレーズでしたよ。
−−− 謎の音楽集団?
【高瀬】
謎だということで、ファンが勝手に調べたりして盛り上がってくれたところはありますね。
【中沢】
当時は、インターネットが発達していく丁度面白い時代だったから、まだ自分たちで調べることが楽しみのひとつだったんじゃないですかね。
【高瀬】
オレのことが好きなヤツがいて、いろいろ調べてたみたいで、その人のホームページに行ったら「結局高瀬一矢は頑張り屋さんなんだ」「頑張り屋さんということにしておこう」って書いてあった(笑)
−−−謎が剥がれていったのはどうしてですか?
【高瀬】
きっかけは、2005年の武道館でのライブでしょう。
【中沢】
武道館ライブとKOTOKOちゃんのメジャーデビューですかね。その辺から表に出るようになりました。それまでは雑誌の取材とかあっても顔を出さないようにしてました。
【高瀬】
2004年から2006年にかけて所属する全てのアーティストをメジャーデビューさせたり、バタバタと忙しかったです。
――さて、今回コンピレーション・アルバムが10作目ということですが、このシリーズについて教えていただけますか?
【高瀬】
「I’ve GIRL’s COMPILATION」シリーズは、美少女ゲームで使われた楽曲を集めたコンピレーションCDです。
――10作目にあたる「The Time ~ 12 Colors ~」は、全曲書き下ろしと伺いましたが
【高瀬】
これまで、ファンから全曲オリジナルで出してほしいという要望が多かったのです。主題歌集ではないので、「I’ve GIRL’s COMPILATION」シリーズとしてのナンバリングはしていません。
もともとこのアルバムは、15周年記念イベントの連動企画としてスタートしました。15周年をしめくくる意味で年末のコミケでの発表に向けて制作しました。全国発売は年明けの1月1日です。これまで関わってくれた歌姫12人に参加してもらって、全曲書き下ろしました。
タイトルを「The Time」とつけたのですが、新旧アーティストに参加してもらっているので、時間の流れを感じてもらいたいというのがあります。
12人に参加してもらったので「12 Colors」というサブタイトルがついています。クリエイターは、新たに加わった、NAMIちゃんを含め6人で、それぞれ2曲づつ作曲を担当してもらいました。
【C.G】
昔、歌ってもらったアーティストが、今のI’veの音楽で新たに歌ってみるとどうなるのかって感じですね。
【高瀬】
伝統と実験です。アーティストとクリエイターのガチの対決。ファンのみんなが喜んでくれるものというのは当然ですが、初めて聴いてもらう人にも楽しんでもらえるように作りました。
【C.G】
12人もの歌姫が参加してくれているので、今までI’veを知らなかった人にも名刺代わりに…1枚で自己紹介みたいな感じになるんじゃないかなと思います。
――I’veの歴史も分かるし、今後のI’veの方向性も分かってもらうために、ベスト盤では無く、現在のI’veサウンドで表現したと。
【高瀬】
そうです。「時間と音のアンサンブル」って感じですね。
【一同】???
【C.G】
なんだか、お菓子のキャッチコピーみたいですね。
――それでは、『The Time ~ 12 Colors ~』に収録されている曲を順番に解説していただけますか。
01.transition
作詞:川田 まみ/作曲:NAMI/編曲:NAMI/唄:川田 まみ
【NAMI】
曲のイメージというのは、まみさんが歌われると聞いたときにパッと浮かんだのですが、メロディーがなかなか浮かばなくて2パターン作って高瀬さんと中沢さんに聞いてもらったら、その2つを組み合わせるアイデアをもらってやってみたら上手くいきました。
【高瀬】
小節ごとに良いとこ取りしたんです。
【C.G】
よく辻褄合ったよね。
【NAMI】
そうなんです。メロが出来て歌が乗って曲が出来上がる行程は、私は歌い手側でしか体験したことがなかったので、すごく新鮮でした。
15年記念作品らしく、フレーズとか、シンセの音とか、ちょっと懐かしい感じを目指しました。もちろんまだまだですが、自信がつきました。
02.successor
作詞:川田 まみ/作曲:高瀬 一矢/編曲:高瀬 一矢/唄:RINA
――RINAちゃんはどういう歌い手さんでしょう?
【高瀬】
島みや先生の生徒さんで、I’veの新しい歌い手です。すごく太い声を出す。それを活かしたくて作った曲です。RINAちゃんのパワフルなボーカルが聞き所です。
03.勝利のHANA
作詞:LOVERSSOUL/作曲:尾崎 武士/編曲:尾崎 武士・中沢 伴行/唄:marriage blue
【尾崎】
アーティスト“marriage blue”って、陰と陽で言えば、陰なんです。その陰の部分にひっぱられて出来た曲です。聞き所は、闇の深い歌詞です。
【中沢】
あと、スラップのギターがカッコイイね。
【尾崎】
スラップギターとかファンキーなカッティングにチャレンジしてみました。
【高瀬】
“marriage blue”って、ビブラートがすごくキレイだよね。アーティスト名は、マリッジブルーの時の鬱の状態をここでは表現したいという意思表明です。
【C.G】
でも、結婚する前提の話ですよね。
【高瀬】
育児ブルーと一緒ですね。
【中沢】
育児ブルーってイマドキのバンド名っぽくて逆にカッコイイですね。
【井内】
ゲスの極みっぽいよね
【高瀬】
育児ブルーに改名させましょうか(笑)
04.Time Traveler
作詞:桐島 愛里/作曲:井内 舞子/編曲:井内 舞子/唄:北村 みのり
【高瀬】
これいい曲だよね
【井内】
ガールズコンピのワントライじゃないですけど、最近戦闘モノとか激しい曲のオーダーがすごく多くて、とにかくカッコイイ曲を求められるんですよ。でも私は、カワイイ曲が好きなんだよと、ちょっと言いたかった。むしろカワイイ曲がメインと言いたくてこれを作りました。
I’veの歌い手は、歌い上げるのもビブラートもすごい上手なんだけど、みのりちゃんにはこれ以上上手くならないで欲しい(笑)歌が上手くなると、彼女の持つ声質の良さを活かすための経験が必要になるので、しばらくこのままで行ってほしい。もちろん、歌っていると上手になるんですけど。
――この曲はサンプルを聞かせてもらったんですが、クセになりますよね。
【高瀬】
歌詞も良いんですよ。
【井内】
愛里ちゃんが頑張ってくれて…「スーパーカー」を入れて欲しいとリテイクしたぐらいです。
【高瀬】
リテイクしたんだ
――みのりちゃんをアイドルっぽく売りだしてみればどうでしょう。
【高瀬】
でも、ウチ、アイドルは出さないので。
【井内】
え?そうだったの?
05.show cage
作詞:柚子乃/作曲:尾崎 武士/編曲:尾崎 武士・中沢 伴行/唄:柚子乃
【尾崎】
いつもギターから曲を作るのですが、この曲はギターを使わないで鍵盤から作りました。ギターも一切入れないというコンセプトで。チャレンジと言えば、チャレンジですかね。
テーマは「妖艶」です。ゆずのちゃん自体が可愛らしいけどどこかセクシーなんですよ。そこを上手く表現できたらなと思って。妖艶さ、かわいらしさ、元気さ…を意識して…。
【井内】
エロカワだ
【中沢】
エロカワだね。確かに。
【高瀬】
エロカワがゆずのちゃんの代名詞になってますね。すすきの歩いててすれ違う女の子がみんな、ゆずのちゃんを見てエロカワだって言うもん(笑)
06.Anthems
作詞:島みや えい子/作曲:C.G mix/編曲:C.G mix/唄:島みや えい子
――アンセムとはベテラン対決ならではの重たいテーマですね。
【C.G】
島みやえい子さんには、アレンジでは今までやらせていただいたことがあるのですが、作曲で組んだのは初めてなんです。島みや先生でなければ出せないトーンというか重たさ…どっしりとした重たさ、地に足がついている。
先生のキャリアの積み重ねもあるんでしょうけど、それをなるべく活かしつつ、切ない感じを。僕なりに表現できたらなと思って。先生の声とかコーラス・ハモリとか先生じゃなきゃ出せない独特な世界観というか…
――大人な感じですか?
【C.G】
そうですそうです。あえて、あまり歌いあげるサビは作らなかったですね。けれど繰り返し繰り返しリフレインしてくるような…意識して作りましたね。
07.Stardust Train
作詞:KOTOKO/作曲:高瀬 一矢/編曲:高瀬 一矢/唄:KOTOKO
――このコンビも安定の組み合わせですね
【高瀬】
でも一番時間がかかりました。どんな曲にしようか悩んじゃって…いつも通りの明るい感じにしようかとも思ったのだけど、出来たらカッコイイ感じになっちゃって…KOTOKOちゃんの歌詞が良かった。
――イントロが長いところが初期のI’veっぽいですね
【高瀬】
そうなんです。レコーディングはすんなりいきました。イメージを固めるまでが、悩みました。5つぐらいメロディ書いたんじゃないかな。
08.Hydrangea
作詞:桐島 愛里/作曲:NAMI/編曲:NAMI/唄:Larval Stage Planning
――元いたグループのメンバーと曲を書いたんですね。
【NAMI】
元メンバーなんですが、あえて曲を作る時って、不思議なもので、一緒にいたんだけども、そこはなにも思わないというか、「Larval Stage Planning」だからそういう曲を書こうとか、自分をそこに置くとか、回想するような内容は止めようと思って書きました。
書いた曲に対して、今の「Larval Stage Planning」の愛里が歌詞を付けてくれて歌を歌ってくれてというのは、不思議な感じなんですけど、あえてそこは1対1というか…。
その歴史はあったけど、お互いこれから頑張ろうねっていう、踏み出したところで私がやっと追いついたというところなので。
――カッコイイですね。今の言葉、グッときました。
【NAMI】
やっと追いつけて、今度は二人でまたそれぞれの道で頑張って行こうと。
――コンセプトでもある、アーティストとクリエイターの戦いがそこにあったわけですね
【NAMI】
同じところに居たのでそれは感じたかも知れないですね。レコーディングの時とかも、すごく、今までとは違う、レコーディング一緒にしていた時とまた違って、良い意味で壁ができて、距離が出来て、すごく、あぁ、作品を作るのはこうなんだなと。
歌い手としての Larval Stage Planning と、作り手としての私がやっと理解できたなという、良い機会だったなと。聞き所は、切ないところです。
09.grizzle
作詞:IKU/作曲:中沢 伴行/編曲:中沢 伴行・尾崎 武士/唄:IKU
【中沢】
IKUちゃんがオリジナルで作る曲は、割とかわいい、明るく、柔らかい感じのものが多いんですが、今回、高瀬さんから、ちょっとダークな感じのものをIKUちゃんに書いて欲しいというオーダーがありました。
ちょっと悩みましたが、メロディ自体は、ずっと使いたいと思っていたけど、なかなか発表するタイミングが無かったものがあったので、それを引っ張り出してきました。
IKUちゃんの歌唱力だったら切なく歌い上げてくれるんじゃないかなって。IKUちゃんのちょっと違う一面が引き出せれば良いなという思いで作った曲です。
10.永遠の言葉
作詞:詩月 カオリ/作曲:井内 舞子/編曲:井内 舞子/唄:詩月 カオリ
――舞子ちゃん、カオリンの黄金コンビですね
【井内】
大きなライブの節目の時は、カオリンの後ろに立ってるんですよ。私の中でカオリンは身近に感じていることを歌にする人なんです。
I’veで初めて歌曲を作ったのは、カオリンの曲だったし、シングルも書かせてもらいました。でも、カオリちゃんって電波曲を歌ってた時と、今とちょっと変わったんですよ。ビブラートのかけ方とか…。
それを活かそうと今っぽいポップな感じのメロディを作ったつもりなのですが、結局、出来上がったらノスタルジックな感じでした(笑)
【中沢】
ファンが一番聴きたいところ。安心できるところですね。やっと、これで来てくれたか、という感覚ではありますね。
【高瀬】
「Spyglass」の時から歌い方を変えたからね、ソウルフルに。カオリちゃん、フェイクとかできるし。
【井内】
リズムも縦が揃ってて、ちょっとぐらい言葉をツメても安心していられるし、そういうのも踏まえてメロは作ってみました。
11.Dark of the moon
作詞:SHIHO/作曲:C.G mix/編曲:C.G mix/唄:SHIHO
――CG.mixとSHIHOさんのコンビも定番な感じがありますね
【C.G】
それが、意外と一緒に仕事してないんですよ。でも原点回帰というか、初期の頃やってた感覚を思い出しつつ作業しました。SHIHOさんってノリの良いカッコイイ曲を歌っているイメージがあると思うんです。また、そういう発注でもありました。
でも、SHIHOさん独特のパンチじゃない声質、ちょっとハスキーが入ってるような…ただカッコイイだけじゃないんです。 儚いような切ないような、儚カッコイイという、そういうイメージで作りました。ただノリでイケイケじゃなく、ちょっと霞んでいるような…。その雰囲気をSHIHOさんが汲み取って「Dark of the moon」というちょっと神秘的なタイトルと歌詞を書いてきたんだと思います。
儚げだけど、ノリがよくてカッコイイ、王道も外さず、というバランスで。
【中沢】
SHIHOさんの声は独特の印象に残る声ですよね。
【C.G】
作りながらタイムトラベルじゃなけれど一瞬時間旅行したような、面白い感覚で書きました。あらためて初心を振り返ってみるという感じで。
12.CHARM
作詞:モモイヒトミ/作曲:中沢 伴行/編曲:中沢 伴行/唄:MOMO
【中沢】
僕とMOMOさんのコンビだとダークでクールな曲のイメージかと思うのです。最初はその辺りのサウンドを作ろうかと思ってトライしてみたんですが、作っている最中に過去だけを目指すのはイヤだなというふうに思い始めてきたんです。
そうじゃなくて、懐かしい感じもだしつつ、今のMOMOさんも表現したいと思うようになってきて。曲調的には、I’ve初期の頃のようなレトロなヤツを、新しいサウンドでやりたいなと。
【C.G】
今と昔を行ったり来たりして書いているような感覚だよね。
【中沢】
まさにそういうようなイメージ。過去だけでもなく未来だけでもないし。そこを行き来するようなイメージで作ったのがこの曲です。MOMOさんの歌詞も呪文っぽいものが入ってたりして、より一層、ファンタジックな感じになりました。
――全曲解説お疲れ様でした。最後の3曲、カオリンと舞子ちゃんのコンビ、CG.mixさんとSHIHOさんのコンビ、そしてMOMOさんと中沢さんのコンビは、3連発でテーマがノスタルジックでしたね。コンセプトの伝統と実験につながったわけですね。
【高瀬】
曲順は板垣が決めてくれました。繰り返し聴きたくなるように工夫してくれました。タイトルの「TheTime」は比較的早めに決めていたのですが、テーマやコンセプトはあまり強要せず、それぞれクリエイターの自由に作ってもらいました。
【井内】
高瀬さん、私、今初めてコンセプト聞きました(笑)
【高瀬】
NAMIちゃんと武士クンがかなりぶっ飛んだ曲を書いてくれて、ベテランメンバーがI’veらしい曲を書いてくれたりと、それなりに上手くまとまりました。
昔からのファンから、初めてI’veを体験する方まで、全ての人に楽しめる内容になったと思います。この後、発売される15周年記念ライブを収録したBru-rayと一緒に楽しんでいただけたら幸いです。
かなり登場人物の多いインタビューになりましたが、詳しいプロフィールは、オフィシャルサイトでご覧いただけます。また、楽曲のサンプル音源も、オフィシャルサイトにあるのでチェックしてみてください。
発売日:2016年1月1日
販売価格:¥3,000(税抜)
2015年3月15日に開催された15周年ライブ”IVE RADICAL ENSEMBLE OF 15th ANNIVERSARY”に出演した、新旧I’veの歴史を創ってきた歌い手12名による初の全新曲書き下ろし記念盤ガールズ・コンピレーションアルバムが発売決定!
発売日:2016年1月27日
販売価格:6,300円(税抜)
I’veの15周年を記念して2015年3月15日に東京ドームシティにて行われた「IVE RADICAL ENSEMBLE of 15th ANNIVERSARY」の模様を収録した映像パッケージをリリース!
川田まみやKOTOKOをはじめとし、15年にわたりゲーム・アニメミュージック業界をけん引してきたクリエイター集団I’veの歴史に名を刻む数々のアーティスト&クリエイターが多数出演!約4時間にわたるライブを収録。