kakeru編集長を辞めます。〜企業のオウンドメディア編集長をやってみた所感を率直に語ってみる〜

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こんにちは、えとみほです。

本日、編集長を務めておりますkakeruにて「編集長を辞めます。」というエントリーをアップさせていただきました。それに伴いまして、立ち上げ準備も含めたこの1年を振り返ってみようと思ったのですが、あまりに危険な話題が多すぎるので自分のサイトに避難してきました。

せっかくなので、オウンドメディアを運営されている方やこれからやってみようと思われている方に向けて有益な情報を提供できたらと思っておりますので、こちらにこの1年の振り返りを記してみたいと思います。

上場企業ならではの難しさを感じた立ち上げ期

kakeruを立ち上げたのは今年の5月ですが、当初から様々なトラブル・予想もしないような出来事の連続でした。まぁ、ぶっちゃけ思っていた以上に大変でした。

その要因の1つとして大きかったのは、弊社(株式会社オプト)がサービス運営に慣れていないB2B主体の一部上場企業だったということです。

上場企業というのは、みなさんご存知のとおりコンプライアンスというものに人一倍気を使わなければなりません。また、経理ルールも不正ができないようにかなりガッチリ決められており、とりわけ一部上場している企業は柔軟な運用というものがなかなかできないしくみになっています。

そうなってくると、たとえばこんなことが起こってしまうわけです。

  • 媒体名刺が作れない(組織図にないサービスなので)
  • 個人の方への支払いフローがない(B2Bしか想定されていない)
  • Peatixのような外部サービスが利用できない
  • 未成年者のインタビューに制約がある
  • 有料セミナーで飲み物が出せない

こういうことがあるたびに「いやいや、こんなんじゃメディア運営なんて無理ですよ!」と言い続け、最終的には経営判断でいくつかのルールを特別に曲げてもらったのですが(この点は経営陣の皆様に心から感謝しております)、このフェーズにたどり着くまでがけっこう大変でした。

よく「上場企業は新しいことをやるのに向かない」と言われますが、その理由が身にしみてわかりました。コンテンツマーケはやりたいけどこういう苦労をしたくないという大企業の方々は、まるっと外注するのが良いのかもしれません。

大企業ならではのセクショナリズムとの戦い

もうひとつもやはり「大企業ならでは」の話になりますが、良い意味でも悪い意味でも「セクショナリズム」の壁を感じました。

このkakeruというメディアは、株式会社オプトのソーシャルメディア事業部という一部署のオウンドメディアです。ですから基本的には、編集もライターも、ソーシャルメディア事業部の人間がやっています。

ただ、出版社でも編プロでもない、いわゆる「営業会社」と呼ばれる弊社には、もともと「文章書くのが好き」とか「文章書くのが得意」という人間がそれほど多くはありません。少なくとも「ライターになりたい」とか「編集やりたい」という理由でオプトに入った人間は誰もいないわけです。

このことは、二つの問題を生みました。

一つは「自分もkakeruで書いてみたい」「参加したい」と思っている、意欲も能力もある稀有な社員がせっかく社内にいても記事を書いてもらえないということ。もう一つは、意欲も適性も微妙だけどこの部署に配属されてしまったというだけで書かざるを得ない社員が出てくる、という問題です。

個人的な意見を言わせてもらうならば、前者はしょうがないとしても、後者は誰も幸せになれないと思っています。本来、クリエイティブな仕事は苦手を克服してやる仕事ではありません。

ただ、そうは言っても社内の他部署の人に協力してもらうことは難しい、外注に出すお金もないとなると、どうにかして今ある財産で勝負するしかないわけです。

そうして出てきたのが、kakeruの場合は「若者 × ソーシャルメディア」「ビジュアルマーケ(インスタジェニック)」という切り口でした。

何もないように見えても必ず「強み」はある

kakeruを始めるに当たって、競合他社(メディア)がやっているのと同じことだけはするまい、という自分自身に対する縛りは設けていました。

「ソーシャルメディアに関する相談がうちに来るように」という目的から考えると、ガイアックスソーシャルメディアラボアライドアーキテクツのSMM Labみたいに、濃いハウツー記事やキャンペーン事例などを紹介する、ferretのソーシャルメディア版みたいなものをやるのが王道で、最も効率良く数字が稼げるということは理解していました。

ただ、この路線は早々に断念しました。なぜなら、単純にこれだけのしっかりした文章、濃いハウツー記事をあげるだけの力量が我々にはないということが分かったからです。ケータイ世代の文章力をある意味ナメていました(みんなごめんねw)。

じゃあ我々には何があるのか?というのを冷静に客観的に分析した結果、出てきたのは、

  • メンバーに若い女子が多い(だいたい23〜25歳くらい)
  • みんなソーシャルメディアが大好きで30代以上が知らないことを知っている
  • 文章は苦手でもビジュアル表現(写真や動画)は得意

この3つでした。

この我々ならではの「強み(になるかもしれないもの)」に気づいたとき、「ひょっとしたら、他のメディアができない面白いものができるかも?」と、ちょっとだけ思いました。

結論、私の挑戦は成功したのか?失敗したのか?

そうそう、そういえば私kakeruを始めたばかりの頃このブログにこんなことを書いてました。

私自身、元ライターとして昨今のキュレーション主体のコンテンツマーケブーム、オウンドメディアブームには違和感を覚えておりまして、今回メディアをやらせてもらうにあたって、どうせやるならガチンコで勝負させてもらいたいと思いました。

SEO目的で量産されたコンテンツが勝つのか、手間をかけた独自性のある一次情報コンテンツが勝つのか。

…はい、実際ガチでやってみてどうだったかというと、SEOは大事だよ、一発のバズより地道な検索流入だよ、記事数増やすほうが重要だよ、という気持ちもなくはないのですが、「ブランディング」という観点からいえば手間をかけた独自性のある一次情報コンテンツが圧倒的に有利だと、言い切ってよいかと思います。

はい、圧勝です。えとみほ大勝利。

kakeruのPV/UUは、9月以降大幅に更新頻度が減ったこともあり正直たいしたことはないのですが、ソーシャルメディアでの言及やWebメディア界隈での言及は、こちらが想定していた以上にありました。

とりわけ、媒体のテーマの性質上ソーシャルインフルエンサーにはよく拾っていただいた気がしています。

先日のハイパーリンクチャレンジ2015でも、

WOODY社長の中里祐次さん:

ジモコロ編集長の徳谷柿次郎さん:

MTRL編集長の佐野恭平さん:

他にも、「ツイッター中の人サミット」や「SNSポリス」が複数回ツイッタートレンド入りするなど、費用対効果を考えるとこちらがびっくりするほど成果がありました。

そして極め付けの出来事は、副編集長の三川夏代がNHKの「シブ5時」という夕方の番組に、若者のソーシャルメディア事情に詳しいコメンテーターとして出演したということです。

コンプライアンスの関係上画面のキャプチャは貼れませんが(笑)、一介の会社員にすぎない20代の女子が、ワイドショーのコメンテーターのように、司会者の方々と横並びで座って偉そうにコメントをしているのです。

この光景はなかなか衝撃的でした。

kakeruを立ち上げた会社にとっての一番の成果は、オプトという会社に「ソーシャルメディアの知見がある」というそれまでにあまりなかったイメージがつき始めたということかと思います。

今回、NHKさんには「若者の」という条件つきではありますが「ソーシャルメディアに詳しい知識人」として呼んでいただいて、ほんの半年くらいの期間でもこういうことが可能なのだと、やっぱりオウンドメディアは偉大だと再認識しました。

とはいえ、7ヶ月は短すぎた

そんな感じで3月の準備段階から実質は9月の半ばくらいまで編集長をやらせていただいたのですが、期間としては短かったです。本当に。

ここまでうまくいったことだけ並べていますが、実際はできなかった、やれなかったことが圧倒的多数です。可能であれば、もっとやりたかった。でも、2ヶ月くらい現職と兼務でやってみて自分には無理だと思いました。

10月からkakeruの実務を離れているのですが、離れてみて思ったのは自分はかなりコンテンツに関してはマイクロマネジメントだということでした。タイトルの付け方、アイキャッチの選び方、文章の句読点の位置まで、すべてチェックしないと気が済まないのです。

自分でも他人に任せられない嫌な性格だと思うのですが、自分が「編集長」の肩書きを持っている限り、ここに対する欲求は絶対になくならないと思いました。ゼロか100かしかないとわかり、ゼロのほうを選んだ次第です。

今後について

kakeruのご挨拶に書いた通りになりますが、今後は株式会社オプトインキュベートに起業家(事業責任者)として出向しまして、現在開発している事業をスピンアウトさせるべく邁進してまいります。

実をいうと、この事業を思いついたのはkakeruのおかげなのです。kakeruを通して、10代の若い子たちのスマホの使い方を深く知るにつれ「こういうことをやったら面白いんじゃないか?」と思ったのが発端でした。

サービスローンチは、2月を予定しております。それまではたぶん表に出てくることはあまりないかと思いますが、またどこかで私の書く駄文を読んでいただく機会があれば光栄です。

それでは、また会う日まで。みなさま、良いお年をお迎えくださいませ。

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