不適切会計185億円、新たに判明
2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の事業主体である日本スポーツ振興センター(JSC)は24日、10年度から11年度にかけて新たに44件(約185億6500万円)の不適切な会計処理があったことを明らかにした。JSCは今年11月、会計検査院から12〜14年度に47件(約49億4000万円)の不適切な会計処理があったことを指摘されており、ずさんな処理は5年間で合わせて235億500万円に上ることになる。
新たに判明したのは、スポーツ振興くじ(toto)の販売払い戻しシステムの構築・運用保守業務の契約変更(約98億4000万円)、12年ロンドン五輪で日本選手団の最終調整の拠点として使われたマルチサポートハウスの食事運営の業務委託(773万円)など44件。いずれも理事長の記名押印なしに契約しており、すべてが1カ月以上経過してから記名押印された。
会計検査院は白紙撤回された新国立競技場の旧計画の実施設計業務などの契約に際して、JSCが理事長名の記名押印をしないまま業務契約を締結していたことを指摘した。このため、JSCが文書の残っている過去5年(10〜14年度)で、会計検査院に指摘される以前の10〜11年度も調査した結果、不適切な処理が見つかった。
JSCは担当部署の責任者ら現職10人に対し、大東和美理事長名で文書による注意処分を行った。処分対象者は計26人いたが、河野一郎前理事長ら16人は既に退任・退職しており、処分ができないとした。【田原和宏】