先日、僕宛に一通の手紙が届いた。
『君もついにこの時が来たのだね、おめでとう。では、まず面接に来るように』とのこと。差出人はわからない、心当たりもない。メッセージと一緒に添えられていたのは“面接会場”の住所だけ。僕は怪しみながらも面接に行くことにした。
一体なんの面接なんだ。ってここ市役所...の裏?
ふぉふぉふぉふぉ
サ...サンタ!!!!!!!!!!!
ねぇ、普通もっと『誰だ!?』みたいなのあるよね?
なんですぐ言っちゃうの
あんたなの?手紙くれたの
ねぇねぇ、サンタに向かって『あんた』とか言う?
で、ここはなんなの?
ここは、市役所の裏にある1年に1日しか稼動しない『サンタ課』じゃ
サ!?サンタ課!!??
急に『テレビショッピング』みたいなテンションやめろ
で、このサンタ課で何するの?
あんたがサンタになる為の面接を行うんだよ
目の位置おかしくない?
そこなの?まぁ、とりあえず着いてきなさい
改めて、私は『サンタ=ポール=ゴッド』じゃ。みんなからは「サンポール」と呼ばれている
(トイレ用洗浄剤)
あんた、今年子ども生まれただろう?ということは、あんたももうサンタになる資格ができたということなんだよ
え、資格とかあんの?あんなのクリスマスの夜に子どもが寝静まったら、そーっとプレゼントを置くだけじゃないの?
わかってないな。あんた、子どもの頃、サンタは信じていたかい?
うん。小学校5年までは信じてた。小学校6年の時のクリスマス、夜中目覚めたら玄関にニンテンドー64が置いてあったんだよ。ダイエーの紙袋に入って。『まさかサンタがダイエーで買ってきたの?』って思ったけど、疑いたくないから『そんなわけない』って自分をごまかしていたんだけど。保証書に近所のダイエーのハンコが押してあったの。その時、サンタなんていないって思ったよ
はははははははははははは
恐らくね、君のお父さんやお母さんはサンタの資格の期限が切れてしまったんだよ。4年に1度、更新があるんだけどね。その更新を怠る(おこたる)と子どもにバレてしまうのじゃ
なにそれ!!!どういうこと!?
サンタが両親なのではなく、両親がサンタなんじゃ。子どもが生まれてから、子どもに感づかれてしまうまでがサンタなんじゃ。どういうことかわかるか?職業みたいなもんで、履歴書に書いてもいいってことじゃ
ごめん、盛った
履歴書はダメね、面接官に「は?」って言われちゃうわ
いや、まぁ、あの...つまりサンタっていうのは、その人が信じてる限りは心の中で大きく、美しく生きているのじゃ。そして、その人の心に輝きを与え、夢やロマン、果てしない希望を育むものなのじゃよ
...そうなのか。確かに今は「サンタなんていない」って思ってるから平然とクリスマスが過ぎ去っていくけど、昔サンタを信じていた頃ってクリスマスが近づくとワクワクしたもんな。サンタが来ると思って過ごす毎日は、今ないキラキラした時間だったし、いつかサンタさんに会ってみたいな。なんて思ってたこともあったな
そういうことじゃ。もうおわかりじゃろう。この資格の意味が
自分が昔、サンタだったお父さんやお母さんにもらっていた夢や希望を、次は子どもにも与えていかなければいけない。ってことだね
ほう。よく理解しているな。1年でも長く、あんたがサンタでいれるように努めるのじゃ。そのためには、あんたとあんたの奥さん自身が『サンタを信じること』。自分自身がサンタを信じていないと、子どもに夢なんて与えられない、絶対に。その気持ちが薄れた時、みんな更新に来なくなり、サンタではなくなるのじゃ
ちゃんと来るよ。僕、いつまでも子どもに夢を持たせてあげたいから毎年更新に来るよ!約束する!!
いや、あの、4年に1回でいいのじゃ
…そうだったのか。サンタって子どもにプレゼントをあげるだけじゃないんだな。目には見えないプレゼント以上のものが詰まっているんだ
歳を重ねるに連れて、子どもであってもプレゼントがもらえてラッキーという感覚が強くなってくる。それは仕方ないことなのじゃが、本当に大事なのは“クリスマスにサンタがやってくる”というプロセスなのじゃ。わしらも、ただただ赤い服着た派手なおっさんをやっているわけじゃないのじゃよ
それなら早く!早く僕にも面接をしてください!サンタの資格をください!!!
面接は終わりじゃよ。実は今まで話したことを理解できるか、サンタとして必要な気持ちを確かめることが面接じゃったのじゃ。もう十分理解したじゃろ。サンタというものを
サン...ポール...
ふぉっふぉっふぉ。いつまでもこの気持ち忘れるんじゃないよ。忘れそうになったら、またこのブログを読みなさい
“ブログ”とか言っちゃうの?もっとこの世界観とか大事にしなよ。
ふぉふぉふぉ、冗談じゃ。じゃあ、あんたはもう行きなさい。子どもが待っているだろう?
そうだ。プレゼント、買って帰らないと。ありがとうサンポール
お、そうだ。せっかくだからあんたにこの『サンポール』という名前を襲名してやr
いらないわ
明日12月24日、僕にとって初めてサンタとなる日。
子どもはまだ生まれて3ヶ月半。サンタなんてまだわからない。けど、いつか話せるようになって『サンタさん来る?』って聞かれる時が来るだろう。その時に立派なサンタさんとして『サンタさんは来るよ』と答えられるように、今はしっかりとサンタの研修期間を過ごす。
仕事帰り、スーツ姿でトイザらスへ。一人でトイザらスに行くのも、もちろん初めて。
店内は同じく仕事帰りで疲れた顔したサンタや、それでも何かを想い嬉しそうにプレゼントを選ぶ先輩サンタがたくさんいた。
プレゼントを買って、家に帰っている道中、子どもが喜ぶ顔を想像した。その瞬間にクリスマスが自分よりも子どものものに変わった。
包装をお願いし忘れたけど 、明日、少しだけサンタになれる気がした。
このブログ記事は、ネットに潜む楽しくてキラキラしたものを通じて知り合って繋がった13人が12月中、リレー式で記事を書いている【#アドカレ2015】13人の「プレゼント」 Advent Calendar 2015 - Adventar に参加しています。
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