滋賀知事「多重防護体制ない」と再稼働反対
関西電力が再稼働を目指す高浜原発3、4号機(福井県高浜町)について、福井県の西川一誠知事は22日、県庁で記者会見を開き「総合的に勘案し、再稼働に同意するという判断に至った」と述べ、再稼働を容認することを発表した。
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避難計画の策定が必要な30キロ圏は京都府と滋賀県にも及び、両府県は地元同意への関与を関電に要求してきた。京都府は2月に同意権のない安全協定を関電と結び、滋賀県も締結に向けた大詰めの調整に入った。立地自治体の特別な地位はほぼ変わらないまま、地元同意手続きは完了することになった。
滋賀県の三日月大造知事は22日の定例記者会見で、「万が一事故が起これば、広範囲に長時間影響を及ぼすことになる。琵琶湖を預かる立場からも、これからも国や電力事業者、福井県に意見を伝え、課題を協議していく」と述べた。一方で、「実効性ある多重防護体制がなく、使用済み核燃料の対策などが未整備の現状では、高浜原発の再稼働を容認できる環境ではない」と改めて再稼働反対の姿勢を示した。
30キロ圏内に大半の地域が含まれる京都府宮津市の井上正嗣市長は「福井県知事は地域の実情を踏まえ判断されたと受けとめている。市としては今後、安全対策や避難計画の実効性の確保について、国や関西電力に引き続き強く求めていく」とのコメントを出した。井上市長は8日の市議会一般質問で、30キロ圏内の首長として初めて再稼働反対の意向を表明している。【北出昭、行方一男】