Updated: Tokyo  2015/12/18 09:28  |  New York  2015/12/17 19:28  |  London  2015/12/18 00:28
 

米ゴールドマン:日本のM&A助言で裾野拡大へ-小型案件に熱視線

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    (ブルームバーグ):米ゴールドマン・サックスは日本企業による海外企業の合併・買収(M&A)の助言業務を強化する。これまで手掛けてきた大型案件だけでなく、比較的小規模の案件にも積極的に取り組む方針だ。こうしたビジネスの裾野拡大により、2016年はアドバイザリー(FA)業務で10年ぶりの首位を目指す。

ゴールドマン・サックス証券の矢野佳彦M&A統括責任者はブルームバーグの取材に、時価総額1000億円規模の日本企業に着目しており、海外に成長を求め、規模、地域、事業の全ての領域で「限界値」を超えるような複雑な案件で提案力を発揮していきたいとの考えを示した。

今年の日本企業関連のM&A件数は海外案件の増加などから2007年以来の活況となっている。ブルームバーグの集計によれば、ゴールドマンはFAランキング(取引額)で現在6位。大型案件は多いが、件数は首位の米モルガン・スタンレーや2位の野村ホールディングスに比べ大幅に少ない。

ゴールドマンの矢野M&A統括責任者はブルームバーグとのインタビューで、1000億-2000億円の日本企業が「自分と同じくらいの規模の企業の買収案件を追及していく傾向が明らかにある」と指摘。「成功率は低い」が、そのような「チャレンジングな案件を手がけることで1位になりたい」と意欲を見せた。

膨らむM&Aマーケット

矢野氏は、規模は「そんなに大きくなくても、日本の会社にとって非常に大事な取引がある」と指摘。その上で「真剣に事業の成長、会社の将来を心配し、M&Aを本業と同程度かそれ以上重要に思っている、そういう顧客のために仕事がしたい」と語った。

ゴールドマンは今年、日本企業による海外買収で最大規模となった東京海上ホールディングスによる米HCCインシュアランス・ホールディングス買収をはじめ、17件・323億ドル相当を手掛けた。1件当たりの規模は平均で19億ドル(約2300億円)とモルガンSの14億ドル、野村の5億7000万ドルを上回り、トップ6社で最大だ。

日本企業による今年のM&Aは2621件と件数では過去8年で最多。取引額は合計で1818億ドルとクロスボーダー案件の増加などで昨年比で約7割増加している。ゴールドマンの14年のFAランキングは5位、13年は3位。06年に日本たばこによる英国ギャラハー社買収を助言して以来、トップの座からは遠ざかっている。

ニューヨークも高い関心

ゴールドマンの日本のM&A業務を13年間統括してきた矢野氏は、日本企業が「自分の身の丈と同じようなものを買う時」は「ファーストクラス」の助言が求められ、買収により「インクリメンタル(斬新的)なバリュークリエーション」が起きるとき、顧客は競争力の高さに応じた手数料を支払うという。

日本で助言件数を増加させようとしているゴールドマンは、M&Aバンカーの増員はしない方針。一方で16年4月は新卒採用数を今年度比35%増やし、ジュニアバンカーの雑用を軽減する社内メールの検索エンジンの開発など業務の効率化を推進しており、顧客への提案書もより簡潔なものにするよう求めている。

ゴールドマンが従来より規模の小さい案件にも注力し、これまで取引のなかった企業のディールに携わろうと意欲を示すのには、ニューヨーク本社を含めたグローバルなサポート体制が充実してきたことなどが背景にある。

矢野氏は、現在の日本企業による旺盛な海外での買収について、米国や欧州の人々の言わば「チェス盤」や「パラダイム」を超えるところで起きているとし、ゴールドマンの海外拠点では「日本でいま何が起きていて、次に何が起きるか高い関心を持っている」と述べ、社内環境の変化から東京で積極的にディールに取り組めるようになってきていると語った。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 日向貴彦 Takahiko Hyuga thyuga@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先: Marcus Wright mwright115@bloomberg.net 平野和, 持田譲二

更新日時: 2015/12/18 06:01 JST

 
 
 
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