アメリカと日本について詳しい著者が書いた本に、アメリカと日本のしつけの方法の違いについての記述がありました。
それによると、しつけの方法というのはそれぞれの国の文化が反映されているといいます。
当たり前のようにも思えますが、その背景のあり方が非常におもしろかったので紹介しようと思いました。
前提として、「日本はグループ主義の文化」で「アメリカは個人主義の文化」であると筆者は考えており、それをもとに話を展開していっています。
国によって異なるしつけの方法
日本とアメリカの共通のしつけの方法として、叫んだり、叩くといった行為を行いますが、「孤立」というしつけは日本でしか行われないそうです。
「孤立」というのは、悪いことをしたときに家の外に出して玄関の鍵を閉めてしまうようなことを指します。
つまり家族というグループから離すことで、子どもに「さっきみたいなことをするとグループから孤立してしまう」ということを教えるということです。
また「そんなことやってると、周りの人に笑われちゃうよ」と子どもに言うこともありますが、これもグループから孤立することを遠回しに示唆していると著者は主張しています。
こうしたしつけの方法は日本では有効ですが、アメリカではあまり意味がないのだそうです。
アメリカは個人主義の文化であるため、グループから孤立することを示してもそれほど恐怖的なものを感じないのだとか。
アメリカでは悪いことをした子どもに対して「自分の部屋に戻れ」といって子どもの自由を奪うのだそうです。こうして個人の自由を奪うことがしつけになるということでしょう。
サザエさんで、離れの物置きに子どもを閉じ込めるというシーンを見たことがあるのですが、あれはアメリカ的なのでしょうか?
ぼくは自分の部屋ではなく、自宅から少しだけ離れた場所に閉じ込めるということがグループからの孤立を示しており、やはりあのしつけも日本的なのではないかと考えています。
また、アメリカでは子どもにきちんとルールを説明することもよく行い、子どもに言葉でルールや考え方を説明することはよいことだと考えられているそうです。
著者は、日本では言葉で説明することは一般的ではないと言っていますが、古い本ということもあり、日本の現状とは少し異なっているように感じられます。
しかし、もしかしたらアメリカの方が、親の考えていることを直接的に伝える傾向があるのかもしれません。
なんでそのしつけをするのかを知ることが大切
それぞれの国の文化によってしつけの方法と、それに伴う意味が異なるということを著者は説明しています。
ぼくは、この本で紹介された恐怖に基づくしつけの方法にはあまり好意的な印象を持っていませんが、確かに家から追い出されるというしつけの方法を経験したことがありますね。
一方で、自分の部屋にいなさいというしつけを受けたことはありません。ゲーム禁止という自由を奪うしつけは受けたことはありますが……。
これらのしつけの方法が良いか悪いか、効果的がどうかは置いておいても、なぜそのしつけをするのかという文化的背景を知ることはとても重要なことであるように思えます。
なんとなく、自分がやられていたからという理由だけで行動するのではなく、その行動によって相手はどのような感情を持つのか、そのしつけをする意味はどのような点にあるのかを理解することは重要でしょう。
今回紹介した本は少し古い内容ですから、現状とは異なる部分も多いでしょうが、国の文化と子どもの育て方というのを意識してみるとおもしろいかもしれません。