地域防災協の避難計画「合理的」と内閣府了承
関西電力高浜原発(福井県高浜町)の半径30キロ圏に入る福井、京都、滋賀3府県と、内閣府は16日の地域原子力防災協議会で、高浜原発が事故を起こした際の避難計画について「合理的」と判断し、了承した。近く開かれる政府の原子力防災会議(議長・安倍晋三首相)で最終的に了承される。関電は高浜3、4号機の早期再稼働を目指しており、その条件が一つ整った。
政府は東京電力福島第1原発事故後、原子力災害対策指針を改定し、対象範囲を半径30キロに拡大した。これに基づく避難計画としては、九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)、四国電力伊方原発(愛媛県)に次いで3件目となる。
3府県は高浜の半径30キロ圏に入り、避難計画の策定が義務付けられている。対象人口は約18万人で、福井県約5万4000人、京都府約12万5000人。滋賀県側は山間部で住人はいない。
避難計画には、事故時の避難経路や避難先施設のほか、バスなどの移動手段も明記した。高浜原発は半島の付け根近くにある。事故時には先端側の住人が孤立する恐れがあり、その対策も盛り込んだ。
今回の避難計画では関電大飯原発など、福井県に集中立地する他原発との同時事故は想定していない。避難住民の受け入れ先は複数の自治体に広がり、安定ヨウ素剤配布や住民支援などで自治体が連携できるかも課題だ。
高浜3、4号機は、原子力規制委員会の新規制基準に合格したが、福井地裁が再稼働を差し止める仮処分を出しており、これが覆らない限り、再稼働できない。これに対し、関電は異議を申し立てており、福井地裁は今月24日にその判断を出す。【酒造唯】