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 創業400年を来年に控える有田焼は、かつて盛んに海外へ輸出され、発展の礎を築いた。輸出を支えたのは稲ワラによる独特の包装技術。主役の陰で注目されなかった職人技に魅せられた研究者が、30年間の研究成果を本にまとめた。

 ワラ包装を研究しているのは、九州産業大名誉教授の宮木慧子(けいこ)さん(80)=福岡市東区。今春「陶磁器ワラ包装技術の文化史」(吉川弘文館)を出版した。

 同大でデザインを教え、有田焼の包装デザインのアドバイザーを務めていた宮木さんは1985年ごろ、佐賀県有田町を訪れ、ワラによる包装の美しさに圧倒された。「まるで、それ自体が作品のようだった」と振り返る。

 宮木さんによると、有田でワラ包装を担ったのは「荷師(にし)」と呼ばれる職人。江戸期、佐賀・鍋島藩は荷師を許可制にして管理した。有田焼を収入の一つにしていた藩にとって、磁器を無傷で運ぶための技術は重要だったという。

 宮木さんは、調査対象を有田焼から備前焼や信楽焼、瀬戸焼などにも広げた。産地を訪れて実演してもらい、写真やビデオで記録。国内17カ所を調査した結果、ワラ包装を大きく二つに分類した。ワラを太い縄にして器に巻く「太縄巻き」と、ワラで器を包む「ワラ包み」だ。太縄巻きは主に大型の器や花瓶を、ワラ包みは小型の器をまとめて運ぶのに使われた。