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軽減税率 対象品目巡りぎりぎりの調整続く
12月9日 18時38分

消費税の軽減税率を巡って、安倍総理大臣と自民党の谷垣幹事長は、公明党との協議で平行線が続く対象品目の扱いを話し合いました。これを受けて、谷垣氏は、公明党の井上幹事長と改めて協議するなど、来年度の税制改正大綱の取りまとめを前にぎりぎりの調整が続いています。
消費税の軽減税率を巡るこれまでの自民・公明両党の幹事長による協議では、自民党が、再来年4月の導入時には、対象品目を「生鮮食品」に絞るよう主張しているのに対し、公明党は、導入時から「加工食品」も加えるよう求めていて、平行線が続いています。
こうしたなか、安倍総理大臣と自民党の谷垣幹事長は、総理大臣官邸で、菅官房長官も交え1時間余り会談しました。この中で、谷垣氏は、公明党の主張に配慮する必要はあるとしながらも、導入時から「加工食品」も加えると取り返しがつかない混乱が起きるおそれがあるとして懸念を伝えました。ただ、自民党内からは、公明党の主張の受け入れを模索すべきだという声も出ていて、会談では、そうした情勢も踏まえ、今後の対応を話し合ったものとみられます。このあと、谷垣氏は、国会近くのホテルで、公明党の井上幹事長と4日続けてとなる協議を行いました。
一方、安倍総理大臣と会談した自民党の下村総裁特別補佐は記者団に対し、「安倍総理大臣からは、軽減税率については、ぜひ、あすまでに、まとめてほしいという話があった。自民党と公明党は、安倍政権の与党であり、最終的にはまとまってもらわないと困るので、谷垣氏に期待したいということだった」と述べました。
自民・公明両党は、近く取りまとめす来年度の税制改正大綱に、軽減税率の具体的な内容も盛り込みたいとしていて、ギリギリの調整が続いています。

対象品目 自民党と公明党の主張

自民党が主張しているのは、コメや野菜、肉や魚などの「生鮮食品」です。食品表示法によって明確に線引きができるうえ、必要となる財源も3400億円と、消費税率の引き上げによる増収分のうち、低所得者の負担軽減策として具体的な使いみちが決まっていない、4000億円の財源で賄うことができるとしています。
これに対し、公明党は、「生鮮食品」だけでは国民の税の負担感を和らげることはできず、低所得者ほど弁当や総菜などの「加工食品」を多く購入しているとして、対象に「加工食品」を加えるよう主張しています。

財務省によりますと、軽減税率の対象品目を、▽「生鮮食品」に「加工食品」も加えた「酒類を除く飲食料品」とすると、必要となる財源は1兆3000億円、▽ここから「外食」を除けば1兆円、▽さらに「菓子」や「飲料」を除けば8200億円と見込まれています。ただ、「外食」や「菓子」を具体的に定義する基準がないことから、自民党や財務省などからは「どこまでを軽減税率の対象にするのか線引きが難しい」という指摘が出ています。

難しい対象品目の線引き

軽減税率の対象品目として検討されている「生鮮食品」と「加工食品」は食品表示法に基づく食品表示基準によって分類されています。
それによりますと、「生鮮食品」には、根菜やきのこなどの野菜や牛肉や豚肉などの肉、マグロやサバなどの魚、それに、米や麦も含まれています。一方、「加工食品」には、麺・パン類、調味料、野菜加工品、菓子や飲料などが含まれます。
<生鮮か 加工か>
「生鮮食品」と「加工食品」の区別は、手が加えられているかどうかで判断されますが、消費者にとってわかりにくい面もあります。

例えば、まぐろの刺身は「生鮮食品」ですが、たいやひらめなどと合わせて盛り合わせにすると「加工食品」に分類されます。ねぎとろも「加工食品」になります。同じように、鮭の切り身は「生鮮食品」ですが、西京漬けは「加工食品」。冷凍した生のかには「生鮮食品」、冷凍したボイルのかには「加工食品」となります。

野菜もカットレタスやベビーリーフは「生鮮食品」。ミックスサラダにすると「加工食品」となります。生たまごは「生鮮食品」。温泉たまごは「加工食品」となるなど区別が分かりにくいものもあります。

<菓子・飲料の分類>
「加工食品」の中で線引きをしようとすると定義づけがない場合もあり、より分かりにくくなります。

例えば、加工食品の中の「菓子」です。ドーナツやまんじゅうは「菓子」に分類できますが、大学芋や黒豆の甘露煮、珍味・おつまみが「菓子」かどうかの区別は難しくなります。また、マロングラッセは「菓子」に分類できますが、同じ栗を加工した栗きんとんははっきりしていません。バナナチップも「菓子」に分類できますが、ドライフルーツは「菓子」になるかはっきりしません。

<飲料>
加工食品の中の「飲料」では、食品表示基準に基づくと炭酸飲料やオレンジジュース、ニンジンジュースは「飲料」に分類されます。一方でトマトジュースは「野菜加工品」、飲むヨーグルトや牛乳は「酪農製品」という分類です。おしるこや青汁は基準がなく、「飲料」とするかどうかはっきりしません。

<外食>
軽減税率の対象に含めるかどうかの議論がある「外食」の定義づけも簡単ではありません。

例えば、コンビニで買った食品を店内で食べた場合は「外食」とはならないことも考えられます。また、屋台で食べるラーメンやアイスクリーム、野球場や映画館の売店で販売される焼そばとホットドッグなどは「外食」となるのか、など明確な線引きが一層難しくなることが予想されます。

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