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【経済】

民間税調大綱 給付付き控除を提言 「格差是正へ抜本改革」

 民間税制調査会が八日まとめた独自の税制改正大綱は、格差是正に向けて税制をどのように改革すべきかを提示した。民間税調の水野和夫共同座長は記者会見で「改革を先送りしていると負担は弱い者に来る。早急に改革をしなければならない、という危機意識があった」と、大綱をまとめた理由を語った。 (須藤恵里)

 低所得者ほど消費税の負担が重くなる「逆進性」対策について大綱は、所得税などの軽減と現金の支給を組み合わせた「給付付き税額控除」の制度を整えるよう提言。また政府・与党が導入を検討する消費税増税時の軽減税率に関しては、対象品目の線引きが難しい点などを懸念し「採用すべきでない」とした。このほか、国民が無自覚に税を徴収される状況を生み出しているとして、サラリーマンなどが年末に行う年末調整制度の廃止も求めた。

 与党が十日にまとめる見通しの税制改正大綱で言及が見送られる公算が大きい「ビール類の税率改正」をめぐっては、「税金の安い発泡酒に国民(の消費)が誘導されている」と指摘。アルコール度数に応じた課税方法に変更し、消費量が多くアルコール度数が比較的低いビールの税率を引き下げるべきだ、とした。

 民間税調が重視するのは「富の再配分による格差是正」の税の本来の役割。大綱は「抜本的改革をせず成長に頼って政府債務を増やし続ければ格差が拡大し、大多数の国民が貧困層へ落ちていく」と指摘し、相続税の強化なども求めた。さらに大綱は、政府の役割は「低所得層への対応に責任を持つ一方、中高所得層には自助努力してもらう」ことだとし、「将来の子どもたちにツケを回すことは一刻も早くやめなければならない」とも主張した。

 民間税調には今年二月から共同座長の三木義一氏、水野氏のほか、租税回避の問題に詳しい弁護士の志賀桜氏、明治大学公共政策大学院教授の田中秀明氏らが参加。約一年間で計九回の公開討論会を開き、延べ千人ほどの参加者と税をめぐって議論してきた。会見で田中氏は「引き続き情報提供を通じ、改革に向けてやっていく」と話した。

 

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