【寄稿】ジェネシスに続け! 韓国企業はブランド市場に参入せよ

 1989年、トヨタは高級車ブランド「レクサス」を立ち上げ、世界の高級車市場に本格的に参入した。ジャーナリストのトーマス・フリードマン氏が著書「レクサスとオリーブの木-グローバリゼーションの正体」でグローバル化の象徴としてレクサスを引用した時、高級車市場におけるレクサスの地位は揺るぎないないかのように見えた。しかし、レクサスは北米市場で成果を挙げただけで、世界の高級車市場全体における位置付けはそれほどでもない。ベンツ、BMW、アウディに代表されるドイツの3大ブランドが市場の約70%を占めているのに対し、レクサスはその10分の1に過ぎない。英エコノミスト誌は日本の高級車ブランドについて「伝統がなく、叙事がない」と酷評した。

 高級車が持つ意味は、市場規模や成長率にだけあるのではない。この市場は大衆車とは比べものにならないほど付加価値が高い。英国の自動車メーカー「アストンマーチン」のアンディ・パーマー最高経営責任者(CEO)は、高級車が自動車業界全体に占める販売台数は12%だが利益は50%だと語った。

 日本の経営者たちに会うたびによくする質問がある。「あなた方はあれほど素晴らしい『ものづくり』文化と、長い間良い物を消費・蓄積するセンスを持っていながら、ブランド市場だけではなぜいつも自分の価値をPRできず、利用者になることだけで満足しているのか」。これは韓国企業も同じだ。

 先月、現代自動車は「ヒュンダイ・ジェネシス」ブランドとして世界の高級車市場に進出すると宣言した。しかし、レクサスの事例から分かるように、容易ではない挑戦になる可能性がある。こうした市場では機能や品質といった客観的な要因は必要条件であるに過ぎず、十分条件にはなりえない。これに伝統やストーリー性、意味、象徴性など形のない価値が光り輝く分野だからだ。何が競争で優位になる核心的なポイントなのか判断する客観的基準がないため、先行ブランドのベンチマーキングや模倣も難しい。

崔容熏(チェ・ヨンフン)同志社大学商学部教授
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