オリックス神戸撤退 大阪の球場50年契約
プロ野球のオリックスは7日、神戸市にある練習施設や選手寮を2017年から大阪市此花区の舞洲(まいしま)野球場周辺に移転すると発表した。オリックスはかつては神戸を本拠地として、阪神大震災が発生した1995、96年には「がんばろうKOBE」を合言葉にパ・リーグ連覇(96年は日本シリーズ優勝)も果たしたが、神戸から事実上撤退することになる。
大阪市が7日、舞洲野球場(収容人員1万人)の敷地と隣接の市有地計約10.4ヘクタールを貸し付ける一般入札を実施し、オリックスの関連会社が予定価格と同じ月額賃料599万円で落札。来年4月から50年の契約で、オリックス側は球場は6400万円で買い取って2軍の本拠地とするほか、周辺に寮やサブ球場、室内練習場などを新設する。
オリックスは2004年オフに大阪近鉄バファローズと合併。3年間は大阪、神戸をダブルフランチャイズとした後、08年からは京セラドーム大阪(大阪市西区)を本拠地としたが、イチロー外野手(現米大リーグ・マーリンズ)らが巣立った選手寮「青濤館(せいとうかん)」などの練習拠点は神戸に残していた。
しかし、同じ兵庫県内にセ・リーグの人気球団・阪神があり、「大阪の球団」として差別化を図り、新たなファン層を開拓したい狙いがある。また、練習場を本拠地の近くに移すことで移動の効率化も期待できる。一方で、オリックスの西名弘明球団社長は「来季も神戸で1軍の15試合を行い、神戸との関係は変わらない」と強調した。【吉見裕都】
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1995年の阪神大震災当時、ボランティアネットワーク「がんばろう!!神戸」で代表を務めた俳優の堀内正美さん(65)は、「企業の判断だから責められないが、寂しさを感じる。市民も選手も一緒に再生を信じて頑張った時の記憶だけは、これからも伝えていかなければならない」と話した。
神戸市灘区の無職、金原健三さん(76)は阪神大震災で自宅が半壊。ユニホームに「がんばろうKOBE」と縫い込んだオリックスがその年に優勝し「ものすごく励まされた」という。「神戸の人はみんな勇気づけられた。とても残念だが、これからも応援したい」と語った。
兵庫県の井戸敏三知事も「震災後『がんばろう神戸』を掲げて日本一になるなど地元に親しまれた球団だけに誠に残念。今後も1、2軍の試合を神戸で開催するなど、地元ファンを大切にする球団運営を続けられることを期待したい」とコメントした。【井上卓也、五十嵐朋子】