元・映画館勤務のミュージシャン、井手健介が厳選!Huluおすすめ6作品はこれ!

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書いた人: モバレコ編集部

カテゴリ: インタビュー, レポート

元・映画館勤務のミュージシャン、井手健介が厳選!Huluおすすめ6作品はこれ!

昨年惜しまれつつも閉館した東京・吉祥寺の映画館、バウスシアター。
東京のディープなカルチャーの中心地としても知られたこの映画館に大学卒業から9年間勤務していたのがシンガー・ソング・ライター、井手健介だ。

彼はバウス閉館後、2015年に待望のファースト・アルバム『井手健介と母船』をリリース。自他共に認める、映画フリークである井手に今回、Huluの膨大な映画リストの中から、彼が厳選した6本を選んでもらいオススメ・ポイントを聞いた。

音楽と映画を行きつ戻りつしながら、映画の楽しさ・素晴らしさを十二分に熟知した井手が選ぶ映画はこれだ!

井手健介(いで・けんすけ)

<プロフィール>
井手健介(いで・けんすけ)

1984年3月生まれ 宮崎県出身。
東京・吉祥寺バウスシアターのスタッフとして爆音映画祭等の運営に関わる傍ら音楽活動を始める。
2012年より井手健介と母船のライヴ活動を開始、不定形バンドとして様々なミュージシャンと演奏を共にする。
2014年夏、バウスシアター解体後、1stアルバムのレコーディングを開始。
2015年8月19日に、井手健介と母船 1st album 『井手健介と母船』を発売。また、井手健介と母船のほか、尾林星とのユニット “ホセ&トンチャイ” 、ホセ&トンチャイのソロ “トンチャイ・K・ウィーラセタクン” としても活動。

<WEB>井手健介と母船オフィシャルサイト


井手健介と母船 『青い山賊』ミュージックビデオ

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目次:

1年に300本鑑賞!? 元・バウスシアター勤務の井手健介

元・バウスシアター勤務の井手健介

――井手さんは、普段から映画はたくさんご覧になるんですか?

この間、レコ発ライヴがやっと終わったんですけど、今年はファースト・アルバム『井手健介と母船』の制作をしていたので全然映画を観れてなかったんですね。
一番観ていた時は、年に300本ぐらい観ていたんですけど。でも、映画って観るのに時間かかるじゃないですか? 明日休みの日とかじゃないと。最近は根性がなくてダメですね……。

――そもそも、映画をたくさん観ようと思ったきっかけはなんですか?

バウスシアターに入って、とにかく上司と話が通じないわけですよ。映画に絡んだジョークとかがわからないんです。これは馬鹿にされる……という危機感から、最低限、共通言語になるようなオーソドックスな作品は観ようと思って。
当時は、僕の生活の中心はバウスシアターでしたからね。「知らないと、イジメられるっ!」と、思って。めちゃくちゃ必死で観て、「あぁ、それっすよねぇ〜」みたいな雰囲気を醸し出してました(笑)。

――今回は、そんな映画通の井手さんにHuluに登録されている映画のリストの中からオススメの作品を選んでいただくという企画なんですが

今回、Huluに登録されている映画のリストをほぼ全部見ました。結構、Huluって独特なラインナップだなぁ〜と思いました。そこから6本、自分がオススメしたいものを選んでみて・・・。
ただ、さきに言っておきたいのは、昔見た作品の記憶というのは曖昧なもので、もしかしたら実際の映画と少し違う話をするかもしれません。まぁ、そういった映画のねつ造が起こるのも、映画鑑賞の醍醐味ということでとらえていただけたら嬉しいです(笑)。

井手健介オススメ!Huluで観られるこの6本!

子供向けと思って観ないと損! 音楽映画の『スクール・オブ・ロック』

『スクール・オブ・ロック』

――まず、1本目は『スクール・オブ・ロック』。ジャック・ブラック主演の音楽映画ですね。

これは「最高です!」って書いていて、もらえれば。

――いや、それじゃオススメコメントになってないんで、もうちょっとお話を伺えると(笑)。

(笑)。主人公は、こち亀の両さんみたいな感じなんですよ。
女にモテない、うだつの上がらないダメ人間。でも、音楽でのし上がるという夢物語をいつまでも持っている。ダメ人間だけど、口だけは上手いから音楽の先生の職をゲットしちゃうですね。で、子どもたちにロック・バンドを組むぞ、ロックを教えてやる……と、なるんだけど最初は子どもたちは興味がない。でもだんだんと教えていくうちにその気になってきて、最後はロック・コンテストに出るんですよ。

子供向けだと思って観たら、ストーリーとサントラにすごく感動した!
子供向けだと思って観たら、ストーリーとサントラにすごく感動した!

――ロック大好きなジャック・ブラックが主演の映画ということもあって、ロックの簡単な歴史や重要な人物がわかるような作りにもなっていましたよね

ある生徒が「ロックバンドで活躍できるのは少人数じゃないか!」っていうシーンがあるんですけど、そこでジャック・ブラックが「照明も、グルーピーも、みんな大事だ」っていうのがすごく素敵なんですよね。いいこと言うのに、最終的に自分が歌っちゃうっていうところもいいんですけど(笑)。
あと、敵だと思っていた校長先生が実はスティーヴィー・ニックスのファンだったってわかるシーンもいいんだよなぁ。意気投合する瞬間が。

――子ども向けの映画かと思って侮っていると意外としっかりとしたストーリーに泣かされる

実は、めちゃくちゃ感動しました。
音楽も最高で、ジム・オルークさんが音楽監修として参加してるんですよ。映画のジャック・ブラックの格好も実はジム・オルークさんの格好をモデルにしていて。ジムさんがSG(※)を持っているから、SGらしいんですよね……という話をどこかで聞きました(笑)。

(※)「SG」はSolid Guitar(ソリッド・ギター)の意。アメリカ合衆国のギブソンが1961年のニューモデルとして発表したエレキギターのこと。

優雅で美しいサスペンス映画、『ゴーストライター』

『ゴーストライター』

――2本目の『ゴーストライター』は、巨匠・ロマン・ポランスキー監督の作品です

これは彼の代表作とかでもなんでもない、どちらかといえば小品という感じなんですけど、実はめちゃくちゃ面白いんですよ。
首相のゴーストライターとして雇われた男がいろんなトラブルに巻き込まれるんですが、とにかく淡々とリズミカルに話が進むんです。

――ユアン・マクレガーが主人公、ピアース・ブロスナンが首相役と配役も豪華ですね。スタイリッシュな印象があります

とってもいいんですよ、ノワール感がある。サスペンスなんだけど優雅さみたいなのが画面から伝わって来るんですよね。人が死んでる場面でも画面が美しい。綺麗なお姉さんとかっこいいおじさんが出てきて、みんな余裕ある雰囲気。ポランスキーは大体観ているんですけど、全体的に陰鬱な感じがして好きなんです。

音でトリックが明らかに!? クライム・サスペンス『プリズナーズ』

『プリズナーズ』

――3本目の『プリズナーズ』は、クライム・サスペンスですね

これ、マジで最高っすよ。観ました? 監督の名前、超読みにくい……ドゥ……ドゥニ・ヴィ……ヴィルヌーヴ、ドゥニ・ヴィルヌーヴ……さん。
ドゥニさんの作品全部面白いんですよ。前の作品の『灼熱の魂』も本当によくて。割りと硬めの映画館やホールでかけられてたんですけど、そこで上映していいのかってぐらいハードな内容の映画で、これも是非観て欲しい(笑)。

――犯罪ものということですが・・・

女の子二人が誘拐される事件が発生して、二人の父親が刑事と協力して何としてでも見つけ出そうとするんです。
途中で犯人らしき男が捕まるんですけど、精神薄弱ということで釈放されちゃうんですね。とにかく犯人っぽい人がたくさん出てくる映画で・・・。父親たちは警察でもなんでもないのに、その容疑者が釈放された後、捕まえて監禁するんです。しかも、水責めの拷問までしちゃう。これが怖い・・・。
観ている人の倫理観が試されるんですよね、父親たちが本当はマッドなのかもしれないんです。それぐらいこいつらヤバいって思う描写が多い。極限状態の中で誰がまともでいられるのかっていう部分と、サスペンスが上手く融合してるんです。

――特に気に入っているポイントはありますか?

音楽が一切ないんですけど、それを利用したラストシーンのトリックがすごいんです。ちゃんと音を聞いて映画を観ている人は「アッ!」って気づく。ジェイク・ギレンホールとポール・ダノが出てくるのでとっても素敵です。

こんな必死のトヨエツ観たことがない!  『必死剣 鳥刺し』

『必死剣 鳥刺し』

――唯一の日本映画ですね、4本目は豊川悦司さん主演の『必死剣 鳥刺し』

まず僕は、トヨエツ(豊川悦司)が大好きなんです。
トヨエツはどの映画を観ても同じ顔をしていて、同じトーンをしている。「トヨエツ」としか言いようがない。トム・クルーズ的な存在というか。俳優というよりは映画スターって感じがして、好きなんです。この映画でも基本的にはそのような存在感で演じているんですが、最後の10分間でトヨエツが、すんごいことになるんすよ!

――すんごいこと……?

最後、50人ぐらいの侍とトヨエツは一人で戦うんですけど、雨も降ってきて、ちょっとずつ切られていくんですね髷も切られて落ちちゃって落ち武者のような髪型、血まみれ泥まみれのすごい様相なんです。俺はすごいものを観てるぞ、これは、という気分になってくる。トヨエツという定型の揺るがない存在だったはずのものが「バケモノ」になる。死ぬ寸前の醜い姿が凄まじくて、カッコいい。必死なんです!

「常にトヨエツ作品から目が離せない」と語る井手さん
「常にトヨエツ作品から目が離せない」と語る井手さん

――必死剣の意味がきちんと最後にわかるわけですね

そこで「あ、必死剣や!」って思って。
「必死剣」の正体も実は驚くようなものです。鳥刺しは、トヨエツによると、絶体絶命の時にしか使えない剣技なんですけど、それがラストシーンでどのようなものなのか判明するんです。僕はこの作品を映画館で観たんですけど、おっさんとヤンキーのカップルと一緒に観て。必死剣、鳥刺しが炸裂する瞬間に、前の席に座っていたヤンキーの食べていたポップコーンが一瞬ふわって空を飛ぶのが見えました。それぐらい見事なのです!

とにかくリアルな映像!  『タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』

『タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』

――5本目は3Dアニメ作品、『タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』。原作は言わずと知れた大ヒット漫画シリーズ『タンタンの冒険』です

単純にクオリティがすごい映画。『リトル・ダンサー』で主人公を演じたジェイミー・ベルがタンタン。
モーションキャプチャーで演じてるんですけど、もう実写でいいだろってぐらいのリアルさ(笑)。
最初の場面で、暗い部屋に光が差し込んでいるシーンがあるんですけど、埃が光の中に待っているのが見えるんですよ。水の動きとかうねりとかしぶきもとにかく凄くて、観たときめちゃくちゃびっくりしましたね。

――この映画に関しては、アニメでしかできない表現ができているという点が気に入ったのでしょうか?

そうですね。前半はちょっと技術の発表会みたいな感じがしたんですけど、後半はアニメでしかありえない表現をやっていて。車のパーツが走っているうちにどんどん外れていくのとか、アニメでしかありえないじゃないですか? イマジネーションの限界に挑戦している感じがしたんですよね。とにかく映像が気持ちよかったです。
僕は男一人で観たんですけど興奮しましたね、最高でした。リアルなんだけど、ちゃんとカートゥーンだからコミカルなのがいい。

モテない男の友情+ゾンビ? 笑って泣ける『ショーン・オブ・ザ・デッド』

『ショーン・オブ・ザ・デッド』

――6本目は『ショーン・オブ・ザ・デッド』。ゾンビ映画でも一筋縄ではいかない作品ということですが

これは最高ですよ。ゾンビ映画が一通り出尽くした、その設定なども十分に人に知られたという前提がある上でいかにふざけるかに挑戦した映画です。
『ハング・オーヴァー』のサイモン・ペッグとエドガー・ライトがコンビを組んで作って最初に有名になった映画で。彼らは基本的にモテないオタクが主人公の友情物語をつくってるんですよね。

――B級映画を観まくったオタクたちのつくったゾンビ映画だけあって、小ネタも満載です

ゾンビって基本的にゆっくり歩いてくるんですけど、それを逆手に取ったギャグを入れ込んできたりとか、今までのゾンビ映画はどこまで逃げ切れるか、が、一番のポイントだと思うんですけど、この映画の主人公たちはどこか余裕なんですよ。
ゾンビと実際に戦う場面でも急にロックが流れたりして、ゲームよろしく攻略していくみたいな作りになっていたりして。この映画もラストが素晴らしいんですけどね。

――ラストがいい映画多いですね!(笑)

主人公の二人はいいやつなんだけど、モテないんです。
でも、途中でサイモン・ペッグの方は一緒にいた女の子と恋心が芽生えるんです。で、それにもう一人の主人公のデブが嫉妬する。最後に、デブは二人を守るために、ゾンビたちの身代わりになるんです。「あぁ、意外と悲しいエンディングだな」って思うんだけど、実は最後の最後、騒動が収束しても男同士の友情は続くんです。

――気になる言い方ですね。っていうか井手さん、映画を勧めるのやっぱり上手いですね

ふふふ。ぜひ、観てみてください。

いい映画に出会いたければ「このシーンは絶対に観たい」をみつけよ!

シンガー・ソング・ライター 井手健介

――今回は大変贅沢な企画で、井手さんにオススメの作品を聞くことができたわけですけど、いい映画を見分けるコツって何かありますか?

いろいろあると思うんですけど、一番有効な方法は普通だけど「予告編を観る」ことですよねぇ。
このシーンは絶対に観たい! というシーンがある映画を観に行くといいと思いますよ。
デンゼル・ワシントンの『フライト』って映画は僕の場合、ただただ飛行機が背面飛行するシーンが観たくて、観に行きました。日本版じゃない予告編はこの背面飛行シーンでローリング・ストーンズが流れてて、カッコイイんですよ〜。


映画『フライト』予告編で「これは観たい!」と思った背面飛行シーン

――日本版の予告編だと、本来の映画とは違う感動巨編になっていることもありますからね

多分、多くの人が求めているっていうことがあるから「感動を保証しますよ」っていう予告編の作りをするんだけど。映画が好きな人たちって、本当は観たことないものを観たいわけだから、ちょっとそれは的外れかなって思う時もありますね。
だから、気になるなぁって思ったものはもしかしたら海外版の予告編を観てもらうといいかもです。

――井手さんの音楽における映画の影響で思いつくところがあれば教えてください

「青い山賊」という曲の「う〜わぁ〜!」ってコーラスが入る部分は、水に飛び込む映像的なイメージがあったんです。PVはタイのアピチャートポン・ウィーラセータクンという監督がとても好きで。その人の世界観をお借りしたんです。その他、今まで見てきた船映画をオマージュしました。
「ロシアの兵隊さん」という曲の不協和音が入るところは、デヴィッド・リンチの映画『マルホランド・ドライブ』あたりの雰囲気でやりましょう、って言ってやってみたりとかしましたね。


井手健介と母船「ロシアの兵隊さん」(at 南池袋ミュージック・オルグ)

――本当に井手さんと映画の結びつきが強いということが今回の取材で分かりました

意表をつくラストというか、想像だにしないところに連れてってくれる映画が好きなんです。制作も終わったので、久しぶりにいっぱい映画も観たいなと思っています!

(取材/執筆)小田部仁

<公式サイト> Hulu – 人気映画・ドラマ・アニメが見放題

アプリ情報
アプリ名 Hulu / フールー
Hulu / フールー
開発 Hulu Japan, LLC
価格 無料
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この記事を書いた人(編集:モバレコ編集部)

いよいよ12月、静電気持ちにとってはそう「ヤツ」(静電気)に気を使わなくてはいけない季節。 僕が最近びっくりした静電気ランキング、ご覧ください。 3位 - コンビニの店員さんからおつりを受け取る瞬間。あんまり痛くはなかったんですがびっくり。 2位 - 会社から出る時のドア、エレベータ降りてビルから出る時のドア。完全に気を抜いた状態での2連続攻撃。 1位 - ATMのお札取り出し口。お札を取り出そうとした瞬間の歓喜を一瞬で静電気が奪い去りました。 という事で12月、いい年を迎えられるようもうひと踏ん張りがんばっていきましょう!