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 JR西日本は、事故などを起こした場合でもミスをした運転士らを処分しない方針を固めた。ミスを隠蔽(いんぺい)させず、正確に報告させやすくすることで、再発防止策に役立てるのが狙いで、来春にも導入する。同社によると、鉄道業界では初めての試みという。

 107人が死亡、562人が負傷した2005年のJR宝塚線(福知山線)脱線事故について、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)は、直接の原因は、運転士のブレーキ操作の遅れと速度オーバーと認定した上で、「日勤教育」に代表される懲罰的な労務管理が背景にあった可能性があると指摘した。

 同社は、事故後、ミスをした運転士に対する懲罰的な再教育を見直し、再発防止に役立てるための報告を奨励してきた。しかし現場からは、まだ原因究明より責任追及が重視されているとの声があったため、ミスをしても処分しないようにすることを検討していた。

 ただ、飲酒運転や悪質性の高い故意の違反行為は、引き続き処分する。今後、線引きを詰めた上で、導入時期を決める。