はやぶさ2:軌道変更 地球へ最接近、各地で観測
毎日新聞 2015年12月03日 19時35分(最終更新 12月03日 21時51分)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3日、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球へ接近し、軌道変更、加速する「地球スイングバイ」を実施したと発表した。同日午後7時8分、米ハワイ上空の3090キロまで接近し、地球スイングバイが成功して予定通りの軌道に入ったとみられる。
昨年12月3日に打ち上げられたはやぶさ2は、地球と火星の間にある小惑星「リュウグウ」を目指して飛行している。スイングバイによって、燃料をほとんど使わずリュウグウに向けた軌道に移ることができる。
相模原市中央区のJAXA相模原キャンパスの管制室では、はやぶさ2が地球に最接近した3日夜、約40人が緊張した表情でモニターを見守った。JAXAによると午後7時29分、最接近を終えたはやぶさ2の機体が正常だと確認されると、管制室に拍手が広がった。はやぶさ2の吉川真ミッションマネジャーは「まずはほっとした」と話した。
小さな機体のはやぶさ2は非常に暗く、肉眼では見えなかったが、日本惑星協会などが撮影キャンペーンを実施し、国内外の天文台が撮影に挑んだ。兵庫県佐用町の兵庫県立大西はりま天文台、岡山県井原市の美星天文台、長野県木曽町の東京大木曽観測所などが撮影に成功した。【斎藤広子】
JAXAの津田雄一・はやぶさ2プロジェクトマネジャーの話 はやぶさ2は計画通り地球最近点を通過しました。地球スイングバイ後のはやぶさ2は元気そのものです。これで一つの山場を超えましたが、はやぶさ2にとっては小さな山に過ぎません。これから一路、(小惑星)リュウグウを目指して、挑戦の航行を続けて参ります。引き続き太陽系の旅路を皆様と苦楽を分かちあいながら、乗り越えていければと思っております。