ニュース
2015年12月03日 18時18分 UPDATE

慈善にビジネスモデルを 5兆円超の株式を寄付するFacebookのザッカーバーグCEO、その「新しさ」 (1/2)

巨額の寄付を明らかにしたFacebookのザッカーバーグCEO「迅速に行動して物事を動かそう」という姿勢は慈善活動にも新しい風を吹き込むかもしれない。(ロイター)

[サンフランシスコ 3日 ロイター]
REUTERS

 米Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは「迅速に行動して物事を動かそう」をモットーに会社を成長させてきたことで知られるが、今度は慈善活動という固定化された世界にも同様の姿勢で臨もうとしている。同氏の新しい冒険的事業は政治と直接関わりを持ち、利益を生み出すことにもなるかもしれない。

 同氏が立ち上げた慈善プロジェクト「Chan Zuckerberg Initiative」は有限責任会社として組織される。つまり従来の慈善団体や財団とは異なり、政治献金をしたり、議員にロビー活動を行ったり、企業に投資して利益を得たりできるということだ。

 「従来の慈善事業とはやり方が異なる。ザッカーバーグ氏はビジネスモデルを使って慈善の目的を果たそうとしている」と公共慈善事業が専門のインディアナ大学レズリー・レンコウスキー教授は指摘する。

 Microsoftの共同創業者ビル・ゲイツ氏が設立したような慈善基金財団は通常、非営利団体を支援し、毎年、資産残高の5%以上を助成金として出すことが義務付けられているが、ザッカーバーグ氏の慈善活動はこうした制約を受けない。

 一方、ゲイツ氏が設立したような非営利財団は税金を払わないが、ザッカーバーグ氏が立ち上げた慈善団体は生み出した利益については税金を支払うことになる。

 ザッカーバーグ氏(31)と妻のプリシラ・チャン氏(30)は12月1日、Facebookに投稿した文書で第一子となる長女マキシマちゃんの誕生を発表するとともに、夫妻が保有するFacebook株の99%(時価で約450億ドルに相当)を生涯を通じて慈善活動に寄付していくと発表した。

 またザッカーバーグ氏は、向こう3年間は年間10億ドルを上限に慈善活動への寄付を行うとも説明している。

 ただしこの慈善活動を有限責任会社として組織したということは、財団として立ち上げた場合とは異なり、株を売却する期限は設けられないということだ。つまり、いつ株を手放すかは夫妻が柔軟に判断できることになる。

 またザッカーバーグ氏はFacebookの総議決権数の過半数を所有しており、当分は同社の支配権を保持することになるという。

 なお、向こう3年間で株の売却があったとしても、Facebookの株価への影響はないものと予想される。情報は十分に周知されており、同社の3000億ドルという時価総額や毎日の出来高からすれば、わずかな額でしかないからだ。

 「全米フットボール連盟(NFL)でよく聞く10年1億ドルといった契約のようにも聞こえるが、実際には最初の3年間についてしか約束されていない」とJOHCM Fundsのシニアファンドマネジャー、ビンス・リバース氏は指摘する。

 夫妻はまだ具体的な組織の概略や資金供給の目的を発表していないが、当初重点を置く分野として、病気の治療、学校教育の改革、世界中の人々をインターネットでつなぐことなどを挙げている。

       1|2 次のページへ

copyright (c) 2015 Thomson Reuters. All rights reserved.

(翻訳責任について)
この記事はThomson Reutersとの契約の下でアイティメディアが翻訳したものです。翻訳責任はアイティメディアにあります。記事内容に関するお問い合わせは、アイティメディアまでお願いいたします。

(著作権、商標について)
ロイター・コンテンツは、トムソン・ロイター又はその第三者コンテンツ・プロバイダーの知的財産です。トムソン・ロイターから書面による事前承認を得ることなく、ロイター・コンテンツをコピー、再出版、再配信すること(キャッシング、フレーミング、又はこれらと同等の手段による場合を含む)は明示的に禁止されています。トムソン・ロイターは、コンテンツの誤謬又は遅延、或いはコンテンツに依拠してなされたあらゆる行動に関し一切責任を負いません。 Reuters(ロイター)及びReuters(ロイター)のロゴは、トムソン・ロイター及びその関連会社の商標です。ロイターが提供するその他のメディア・サービスについてお知りになりたい場合は、http://about.reuters.com/media/をご参照ください。

ピックアップコンテンツ

- PR -
日本はIT先進国になれるのか? 目の前の問題を解決しつつ、2020年に向けたITの進化を考える