つづきです。
いいかえ
前章の「はげまし」のなかで「伝え返し」を紹介しました。
これは、意味や意図をもって、一言二言繰り返す、ということですが、「いいかえ」は、さらに進めたものです。
イメージとしては、相手の話したことを一文にして返す(≒「伝え返し」よりも、ボリュームを増やして返す)といった感じでしょうか。
「好きな映画は、アクション映画ですね。気分がムシャクシャしているときとか、落ち込んでいるときに見ると・・・、スカッとすると言うか、なんか、気持ちが晴れるんですよね」
→ 「気持ちが晴れるんですね!」(伝え返し)
→ 「落ち込んでいるときに見ると、スカッと気持ちが晴れるんですね!」(いいかえ)
ここでのポイントは、相手の話をしっかり聞いているということと共に、内容を正しく理解しているということを、伝えることにあります。
ですから、一文にするとは言いつつも、できるだけ簡潔に返すのが良いですね。
要約
相手がたくさんの話を一気にしゃべったとき、あるいは、様々な話が展開してきて何がいいたいのかよくわからなくなったときに、一旦、整理することが「要約」となります。
「『かくかくしかじかで、ああしてこうしたら、こうなった』、ということですね?」
「要約」そのものは、「簡潔に順序だてて経過を述べる」ということです。
でも、相手の話が混乱していたり、ボリュームが多いわけですから、聞き手がちゃんと把握しきれない場合もあるでしょう。
そこで、終わりに「~ということですね?」と確認すると良いですね。
これで正しく理解できているか分かりますし、何より「聞き手のことを尊重している」というメッセージになります。
日常会話で「要約」を使うことはあんまり無いとは思います。
が・・・、ダークサイドの活用法として、話がやたらにクドい人に対して「要約」を連発してあげると、だんだん意気消沈し、やがて話が短くなる場合がありますね。
でも、あまりやり過ぎると相手をイラつかせるので、ご注意を。
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「いいかえ」「要約」とも、聞き手の意図を強く反映させることができます。
相手の言った「どの言葉を拾い上げるか」、「どんな言葉に置き換えるか」によって、話の印象を変え、話の流れを誘導することができるからです。
いわゆるパワープレイなどでは、このテクニックを使う場合もあるかもしれません。
が、「聞き上手になる」ためには、「聞き手の意図性をもって介入する」ことは望ましくないと考えます。
中途半端にやると、こちらの思惑がバレてしまって、相手に不信感を与えかねませんから。
そういう意味でも、「いいかえ」「要約」においては、極力、相手が発した言葉をそのまま用いることをお奨めします。
まとめ
「聞き上手になるために」と題して、5回にわたって書かせていただきました。
すでにお気づきの方もいらっしゃいますが、これはアレン・アイビィというアメリカの心理学者が開発した「マイクロ技法」をベースにしたものです。
(かるびさん、コメントありがとうございました)
日常において、「聞き上手になる」ためにどうすれば良いかをテーマに、私自身の解釈や経験則を踏まえて書きました。
よって、カウンセリング的な要素は大幅にカットしています。
「マイクロ技法」自体、もっともっと広く奥深いものですので、ご興味がありましたら、一読してみてください。
最後に
どんな人にでも「表現欲求」」はあります。
寡黙な人でも、人に聞いてもらいたいという思いは持っているはずです。
また、人によっては「絶対に誰にもしゃべれない墓場まで持って行く秘密」だとしても、時と場合、そして、相手によっては「話したい」のかもしれませんし・・・、ね。
「聞き上手」であることは、相手の「表現欲求」を満たすという意味でコミュニケーションをよりスムーズにしてくれます。
そして、「話し上手」である以上に自分の世界を広げてくれると思います。
私自身、ぜひとも、「聞き上手」になりたいと思っています。