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[FT]アジアの心を奪う 中国の「最強武器」

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2015/11/27 6:30
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 スキャンダルの渦中にあるマレーシアのナジブ・ラザク首相にとって、自由な世界やそれほど自由でない世界の政治指導者たちと顔を合わせるには、今は耐え難いほどきまりの悪い時期だったはずだ。ナジブ氏が設立を後押しした開発基金「1MDB」は現在、疑わしい取引に関する複数の国際捜査で名前が取り沙汰されている。おまけに110億ドルもの債務を抱え、アップアップの状態だ。それでも、ナジブ氏は、クアラルンプールで先週開かれた(東アジア首脳会議などの)会議のためにやって来た米国大統領と中国首相をもてなす機会を楽しんだように見えた。名前が明らかにされていない中東のある人物から、7億ドルの寄付がナジブ氏の個人口座に振り込まれたと報じられたばかりではあったが。

中国・ASEAN首脳会合に参加した中国の李克強首相(中央)。向かって右隣が開催国マレーシアのナジブ首相(21日、クアラルンプール)=AP
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中国・ASEAN首脳会合に参加した中国の李克強首相(中央)。向かって右隣が開催国マレーシアのナジブ首相(21日、クアラルンプール)=AP

 それはそうだろう。バラク・オバマ大統領は、テロ対策から自由貿易に至る幅広い分野でナジブ氏の支援を強く必要としており、国家の基金を大々的に不正流用したと批判されている指導者に明らかに寛大に接した。とりわけ過激派組織「イスラム国」(IS)と戦う上で、イスラム穏健派の情報発信を用いることでは、マレーシアは「特別に助けになる」存在だとたたえた。オバマ氏はさらに、環太平洋経済連携協定(TPP)加盟国としてのマレーシアの重要性も認めた。米国政府は、このTPPが世界で最もダイナミックな地域と米国とをしっかり結びつけ、盛んに議論されている(が、あまり実行には移されていない)軍事力の太平洋へのピボット(旋回)を補強することを期待している。

■中国の大量の「贈り物」

 中国の李克強首相はこれより一枚上手だった。李首相はナジブ氏に、7億ドルでは不十分だといわんばかりに大量の贈り物を浴びせた。まず、国有の原子力企業である中国広核集団(CGN)に1MDB保有のエネルギー関連資産を23億ドルで購入させ、1MDBの債務負担を軽減した。そしてクアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道の計画など、ほかの案件にも中国が大型投資を行う可能性を熱心に語ってみせた。恋人が互いの詩を交換するように、両国は互いの国債を購入し合った。

 中国の台頭はアジア諸国に難しい選択を突きつけると見るのが普通だ。例えば、米国と安全保障の面で深い関係にあるオーストラリアは、断トツの貿易相手国・中国と築いている商業的関係とバランスをどのように取るべきなのだろうか。その答えは、バランスを取るのは常に容易なわけではない――となるだろう。オーストラリアが24年間も景気後退を経験せずに経済成長を遂げられたのは、これまで旺盛だった中国のコモディティー需要によるところが非常に大きい。しかし、このお得意さまとの関係がとげとげしくなるときもある。オーストラリア政府は、農場や通信、鉱山などへの中国からの投資に警戒している。

 それほど裕福でない国々には別の選択肢があるかもしれない。可能な範囲で最も有利な取引を実現するために2つの国をてんびんにかけるというやり方である。パキスタンがその好例だ。

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