>   >  CG専門学校の講師歴15年を超えるプロが伝授「見る力」の強化で劇的に造形力が上がる人物キャラクターのフェイシャルモデリング
CG専門学校の講師歴15年を超えるプロが伝授<br/>「見る力」の強化で劇的に造形力が上がる<br/>人物キャラクターのフェイシャルモデリング

CG専門学校の講師歴15年を超えるプロが伝授
「見る力」の強化で劇的に造形力が上がる
人物キャラクターのフェイシャルモデリング

あらゆるモデリングの中で最も造形的な魅力を判断されるキャラクターの顔。そこにはアナトミカルな造形的説得力と、キャラクターの内面を引き出したフォルムの構築が必要なのです。スキルアップするには、それらを判断できる目を研鑽して育てるしかありません。

[Profile]
  • 田島キヨミ

    東京モード学園ファッションデザイン学部卒業。キャラクタープロパティ関連商品のアートディレクター、グラフィックデザイナー、3DCGデザイナーを経て、1999年より日本電子専門学校CG系学科、2014年よりHAL東京ゲームデザイン学科でMayaを中心としたCG制作の非常勤講師として勤務。


[Information]
  • Autodesk Maya
    キャラクターモデリング造形力矯正バイブル -へたくそスパイラルからの脱出!!-


    長い講師歴で蓄積した経験に より、初心者が陥りやすい問 題の解決方法を懇切丁寧に教 えてくれるキャラクターモデリング教科書。スキルアップ したい初中級者は必読です。
    価格:4,000円+税
    総ページ数:296ページ
    サイズ:B5版
    URL:https://www.wgn.co.jp/store/dat/8186/

多面的に情報を得るための「見て感じる」力

フェイシャルモデリングの造形力に関して、学生だからプロだからという線引きではその人のレベルを測ることはできません。まだまだ発展途上のレベルの学生たちが数年でプロと呼ばれます。プロの現場での経験はクリエイターとして大きく成長させますが、造形レベルという点に絞ったときにはその本人の「造形を感じる力」を研鑽してレベルを上げなければ決して上手くはならないのです。多くの学生が「人の顔を作る」レベルはもっています。しかし造形的な説得力がまったく足りていないのです。簡単に言えば、"人間風"なだけのポリゴンモデリングなのです(それはデフォルメとはちがいます)。

そういった学生たちにはいったい何が欠けているのか、毎年大人数の学生に教えているので、私はある種のパターンをつかむことができました。ひとつのキーワードとしてまとめると、それは「見る力の弱さ」なのです。顔は複雑な曲線とフォルムが組み合わさって造形されています。工業製品の図面から情報を取るのとは異なり、曲線とフォルムを多面的に見る力が要求されるのです。授業でひとりの人物の様々な角度からの写真を配布しても、できない人はその写真がもつ情報を偏って見てしまいます。見る力の偏りを侮ってはいけません。ものを目で見ることは簡単です。それを脳でどう捉えているかが能力の差になるのです。

もちろんポリゴンモデリングのテクニックは重要です。しかし、そういった技術的なことをマスターすれば上手くなると勘違いしてしまう人が多いのも事実なのです。造形的に説得力のあるモデリングであることにとどまらず、キャラの内面が輝き出すような魅力をモデリングするには、魅力あるフォルムを「見て感じる」必要があるのです。今回は「見る力」を強化するフェイシャルモデリングのスキルアップ法を紹介したいと思います。

Q&A Modeler 01

講師経験が長いと、毎年のように学生から頻出する質問があるはず。ここでは、そのようなよくある相談や質問事項に対して簡潔に答えてもらったので、ぜひ参考にしてほしい。

Q1:毎日気軽にできるような、「見る力」を鍛えるオススメのトレーニング方法はありますか?

A1:デッサンはスキルアップのために必須ですが、時間をかけずに気軽にできるクロッキーやスケッチがオススメです。モデラーにとっては、面を詳細に描き込むことよりもフォルムがもつラインを見る力がまず大切です。クロッキーでは5分?30分と短い時間設定をし、その時間内で形状を構成するラインを見極める力をつけると良いでしょう。短い時間なので毎日1枚でもできるはずです。気軽に始めるためには、好きな女優などの(正面だけを選ばず様々な角度の)写真を描いてみてください。学生さんの場合、大量に貯まったスケッチをコラージュしてポートフォリオに入れれば努力が伝わりますよ。

Q2:自分がなぜ下手なのかよくわかりません。モデリングが上手にできない学生のクセや傾向ってありますか?

A2:上手にできない人の最も顕著な傾向は、CGソフトの画面しか見ずにモデリングしていることです。その手の人は資料を集めるというモデリングの前段階の課題でも、数枚のイメージ画像しか集められません。モデリングが上手い私であっても、脳内のイメージは偽物だと知っています。それはオリジナリティとは別のものです。脳内のイメージだけで説得力ある構造と美しいフォルムを構築するのは不可能なのです。全体のフォルムやパーツ、デザイン、全てにおいて大量に参考画像や文献を集めてください。そして画像からフォルムをよく観察する習慣を身につけることが重要です。

Q3:田島先生が「見る力」を鍛えさせるためにモデリングの授業で最初に教えることはどんなことですか?

A3:寸法の概念です。私の授業では最初からキャラクターは作らず、コーヒーカップ、スプーン、鉛筆、鉛筆削りと工業製品を作るのですが、必ず原寸で作り、細かな箇所の寸法を実際に測ります。リアルを目標にするならば、パーツの幅や配置位置の情報は重要なのです。3DCGではオブジェクトの寸法を適当にしてしまいがちですが、シーン内オブジェクトの比率、アニメーションの移動値、レンダラでの距離計算、ダイナミクスでの距離計算など様々なところで寸法の概念が組み合わされるため、適当に作ることを覚えてはいけません。ですからグリッドを常にカスタマイズすることと、距離ツールの使い方を最初に教えます。

Q4美大で立体造形を作っていたので「見る力」には自信があります。モデリングにおいて3DCG特有の難しさみたいなものはありますか?

A4:ずばりトポロジーです。トポロジーとは簡単に言えば、メッシュのながれです。ゲームアプリ用のローポリと映像用の高解像度メッシュではポリゴン数そのものが異なるので、考え方は変わってきますが、ポリゴン数が少ないほどアニメーション(スキニング)の視点を取り入れてメッシュを分割します。顔の場合は表情筋を意識してながれを作ります。また多角形や三角ポリゴンを使ってよいかはプロジェクトの仕様によって異なりますが、基本は四角ポリゴンと考えてください。またZBrushのようなスカルプト系ソフトではトポロジーを意識せず詳細なディテールをつくり込むことができますが、ゲームや映像に使うのであれば、必ずリトポロジー(メッシュのながれを作り直す)作業が出てきます。

▲顔のトポロジー例。目の周り(黄色)、口の周り(緑色)、笑いジワ(赤色)が表情筋を基に作られたエッジループになっている。ネットで「face topology」と検索すれば様々なアーティストのポリゴン分割のサンプルが手に入る

<2>フォルム 基礎フォルムが最重要。バランス全ての根幹となる

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