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人類は少子高齢化しました

TEDにおける伝説的なプレゼンの一つにHans RoslingによるStats that reshape your worldviewがある。1000万回以上も視聴されたプレゼンなので見たことがある方も多いだろう。彼はTrendalyzerという自作のソフトを用いて、統計データを視覚化し世界の様相を伝えている。

Trendalyzerはここで配布されている。また、後にTrendalyzerはGoogleに買収され、Google Visualization APIとして配布されている。さらに、様々な長期的統計データもここに整理・集約されている。

彼は2006年に行われたプレゼンにおいて、先進国は長寿で少家族、発展途上国は短命で大家族という先入観は今や正しくなく、世界全体が少子化・長寿化に向かっていることを示した。次のVizは彼が示したデータを2015年まで延長して再構成したものである。





縦軸が平均寿命、横軸が出生率となっており、1800年から2015年までの各国の推移をプロットしている。円の大きさは人口を表しており、地域ごとに色分けしている。前世紀こそヨーロッパや一部の先進国が主導していたが、今やアフリカ諸国なども左上の少子化・長寿命のエリアに集約しつつあることが分かる。人類は少子高齢化の時代に入ったのだ。


全世界を一度に見ると各地域の特色がわかりにくいので、地域ごとに分割し同時に再生したのが次のVizである。アジアでは長らく日本が少子高齢化の先陣を切っていたが、中国とインドという巨大な人口を持つ2カ国、そして他の国々においても近年一気に少子高齢化が進んでいることが見て取れる。





ヨーロッパでは少子高齢化が顕著で、既に現時点においてすべての国がほぼ左上に固まってしまっている。オセアニアではオーストラリアやニュージーランドが、北アメリカでは米国やカナダが先行し、その他の国々が追いかけるという構図だ。途上国の一般的な印象であった短命・大家族の傾向は、現在ではアフリカに残っている程度だ。そのアフリカにしても平均寿命は既に大きく改善しており、出生率も減少傾向であることが分かる。

途上国に酷なことには、かつて日本の高度経済成長を支えたような人口ボーナスを享受できる期間がどんどん短くなっているという点だ。労働力増加率が人口増加率よりも高くなり経済成長が促進される人口ボーナス期は短くなり、十分な経済成長が達成されないまま人口構成の変化が経済成長の重荷になる人口オーナスへと推移してしまう。

日本の人口ボーナス期が約70年だったのに対し、中国の人口ボーナス期は約45年で終了すると見られている(日本と比べ際立って短い中国の人口ボーナス期:日経ビジネスオンライン)。中国は先月、30年以上に渡り続けてきた一人っ子政策の撤廃を決めた。これは高齢化が進み、中国経済が減速する中で労働者不足が深刻になりつつあることを受けたものだが、都市部に住む若い世代は養育費の負担を嫌ってもはや第二子を育てる意欲に乏しく、少子化に歯止めをかけられるかどうかは疑問だ。

中国より後に続く国々の人口ボーナス期も日本より短くなることが予想され、それらの国が人口ボーナスを生かし、貧困から脱することができるのかどうかは予断を許さない。

日本は世界の少子高齢化の流れの中で、先頭を走っている国家だ。出生率は極めて低く、世界一の長寿命を誇り、世界に類を見ない速さで高齢社会に突入した。政府は様々な子育て支援を通して少子化の是正を図ってきたが、それが絵に描いた餅に過ぎなかったことは、次のグラフが雄弁に物語っている(国立社会保障・人口問題研究所)。

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昔、日本で出生率が高かった時代には、子供を生むことには、働き口を増やし、収入を増加させるという経済的合理性があった。今の時代は、子供を生むことは、養育費の負担を増加させ、生活レベルを低下させるという経済的に非合理な選択となってしまっている。本気で出生率を改善させたいと思うのであれば、子供を生むことに経済的合理性を与え、子供を生むと儲かるような状況を作るしか無い。

残念ながら、おそらく出生率を劇的に改善させるような大胆な施策を実現する事は困難だろう。となれば、大幅な経済成長が期待できず、徐々に人口減により国力が減衰していく中で、どのように国家を運営し、世界の中で自国を位置づけるのか、というどの国もまだ体験したことがない未知の試練に、日本が真っ先に挑まなければならない。

そして日本につづいて世界の他の国々も同様に少子高齢社会の中での国家運営を余儀なくされていく。右肩上がりの成長を前提とした施策はもはや成り立たない。日本は21世紀の少子高齢化した人類の行く末を左右する重要な試金石となるだろう。そう、日本の失われた20年をまさに今ヨーロッパとアメリカが追いかけているように。

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