北朝鮮の対韓国窓口機関である祖国平和統一委員会書記局は20日朝、韓国統一部(省に相当)に対し「南北当局会談に向けた実務協議」を11月26日に板門店の統一閣で行うことを提案する通知文を送った。南北当局会談に向けた事前の協議については韓国政府もすでに提案をしており、10月30日には3回目の提案を行っていることから、今回はそれから21日が過ぎて北朝鮮が回答した形となる。逆提案を受けた統一部は直ちに同意する意向を北朝鮮に伝えた。今年8月の南北高官級協議の際にはいわゆる「8・25合意」が双方の間で交わされ、その第1項には当局会談について明記されているが、それから2カ月の時を経てついに実現に向けて動き出した。
最近になって北朝鮮は国際社会に向け、これまでの強硬姿勢を見直し態度を軟化させたかのような動きを相次いで示している。国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長の訪朝について具体的な協議が進行中である事実が確認されたこともその1つだ。また朝鮮労働党創建70周年記念の軍事パレードの際には、中国共産党序列5位の劉雲山・政治局常務委員が平壌を訪れ、中国と北朝鮮の和解を演出した。統一部の関係者は「これまで北朝鮮では年末が近づくと『決算総話』を理由にハリネズミのように固まってきたが、最近の動きはそれとは違ってかなり異例だ」とコメントした。
さらに韓国政府の別の当局者は「6カ国協議参加国の中で北朝鮮を除く5カ国は、北朝鮮に対して執拗に対話を求めている。そのため北朝鮮としてもやや追い詰められたような状況だ」「これまで様々な口実で対話を避けてきた北朝鮮も、これ以上は言い逃れの手立てがなくなったようだ」との見方を示した。さらに北朝鮮問題に詳しい専門家は「これまで4年間続いた恐怖政治により、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の統治基盤はある程度固まった。それを受けて今後は対外的な政策に目を向けはじめるのではないか」との見方も示している。梨花女子大学の曺東昊(チョ・ドンホ)教授は「故・金日成(キム・イルソン)主席の時代から北朝鮮にはある種の原則があるが、それがすなわち対内・対南・対外のいわゆる3大革命力量の強化だ」「内部の安定にある程度メドがついたので、今後は今なお不十分な対南と対外の力量を高めることを考えているのではないか」などとコメントした。