北朝鮮を脱出して韓国を目指していた9人の脱北者が先月ベトナムで拘束され、中国の公安当局に身柄を引き渡されていたことが17日までに分かった。一行には朝鮮人民軍で中隊長を務める現役の大尉や、わずか1歳の子供も含まれているという。
北朝鮮人権市民連合によると、先月初めに北朝鮮を脱出した9人は、中国遼寧省を出発して中越国境地帯の広西省南寧市までたどり着き、先月22日に国境を越えてベトナムのモンカイに入った。ところがそこからラオスに向かうバスに乗ろうとした際、ベトナム警察の検問に引っ掛かったとみられる。
直後に一行は中国広西省東興市の公安当局に身柄を移され、しばらくそこで抑留されていたが、今月16日に汽車で瀋陽に移送。その翌日には北朝鮮と国境を接する吉林省図們市の中国人民解放軍部隊に再び移され、そこから北朝鮮に強制送還されそうだという。韓国政府筋は「外交ルートを通じて中国政府と交渉をしているが、釈放されるかどうかは楽観できない」と述べた。
中国が一行を北朝鮮に強制送還する可能性が高まっていることを受け「中国政府による脱北者への対応が見直されたのでは」と指摘する声が出始めている。中国は長い間「無条件の強制送還」を行ってきたが、昨年の後半ごろから強制送還に慎重な動きを示していた。これについて外交関係者の間では「韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が中国重視の政策を取ったことで、中国で長く続いた脱北者への対応に変化がもたらされた」との見方も出ていた。ところが今回の事態をきっかけに、脱北者に対する中国政府の対応が以前に逆戻りすることへの懸念が出始めている。
実際に一行が北朝鮮に強制送還された場合、これは最近の中朝関係改善の動きに伴うものと考えることもできる。2013年2月に北朝鮮が3回目の核実験を強行し、また同年12月に中国と太いパイプを持っていた張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長が処刑されたことなどが影響し、中朝関係は一時期極端に悪化していた。ところが先月行われた朝鮮労働党創建70周年記念行事に、中国共産党序列5位の劉雲山・政治局常務委員が出席したことで、中朝の間では関係改善の動きが出始めていた。
上記の韓国政府筋は「中国は最近、脱北者への対応が異常と思われるほど寛大になっていた。これは朴槿恵大統領による中国重視政策の影響もあったが、それよりもむしろ北朝鮮に対して一種の不満を伝えるという側面の方が大きかった」「しかし中朝関係が回復に向かっているだけに、中国も北朝鮮に誠意を示すという次元から、脱北者への対応を以前のような形に戻そうとしているのではないか」などの見方を示した。