CGのギタリストが全裸で大暴れ!?ミュージックビデオ制作現場を舞台にVFXで表現した、Oh Yeah Wow監督のカオスで笑えるMV「Walk The Wire」!

2015.11.09 Mon

 

Boy & Bear「Walk the Wire」
dir: Darcy Prendergast, Josh Thomas|prod co: Oh Yeah Wow|pr: Nicky Pastore|ad: Rennie Watson|DoP: Marden Dean|make-up: Marlene Olsson|gaffer: Andrew Lock|wardrobe: Paige Prendergast|sound: Dead One Sound, Ryan Granger|pyrotechnics: Blaso Pyrotechnics, Luke Fenech|runner: Thomas Wilkinson|VFX: Dave Abbott & Josh Thomas
オーストラリアはメルボルンのフィルムメイカーOh Yeah Wow。彼らの名前に聞き覚えがなくとも2年前に話題になった、ちょっと先の自分が静止画になるClubfeetのミュージックビデオ(MV)「Everything You Wanted」を覚えている方も多いのではないだろうか?ワン・ダイレクションがアイデアを真似したことでも話題になったMVだ。現在約30名のスタッフを抱え、元ボクシングジムを改装した広い新オフィスに移り、オーストラリアで勢いのあるクリエイティブチームだ。

MVの撮影風景をメタな視点から捉えたこのBoy & Bear「Walk the Wire」 は、VFXで作った代役の登場によりカオスで笑える作品へと様変わりしていく。まさにタイトル通り「Walk The Wire(綱渡り)」な撮影現場が舞台となっている。ユニークなアイデアをVFXで表現するOh Yeah Wowの渾身の一作から目が離せない!

映像は、月面で真面目かつクールに演奏するバンドメンバーのカットから始まる。すると、突如CGのクロマキーが解けて現れる。MV内の映像から、MV制作の現場へと舞台が移動してしまったのだ。背景のグリーンスクリーンとなんとも滑稽なグリーンタイツの男たち。怒り出す監督(本作のDarcy Prendergast(ダルシー・プレンダーガスト)監督が演じている)、小道具の隕石でふざけるグリーンタイツのスタッフ。すでにカオスで笑える状況だが、ここからさらに急展開!ギターの Killian Gavin(キリアン・ギャビン)の目の前で噴火が起こり、キリアンが顔面にそれを食らってしまう。

騒然となる現場で、負傷して運ばれたキリアンの穴を埋めるように登場したのは、VFXで作られた全裸のCGキリアン。いきなり両膝をついてギターを弾きならすCGキリアンは、VFXのコンピュータを操作して増殖。監督は何故か拳銃を片手にノリノリで、グリーンタイツたちも大はしゃぎ!そんな収集がつかない現場に、Boy & Bearの4人は困惑の表情を隠せない。最後は、呆れて帰ってしまうというオチだ。

監督を務めたのは、Oh Yeah Wowの創設者でもあるDarcy Prendergast(ダルシー・プレンダーガスト)と、ディレクターのJosh Thomas(ジョシュ・トーマス)。両監督がコンセプトを練り上げ、トーマス監督は本作の肝であるVFXも担当した。

長い間、狭苦しい倉庫のような空間で日々映像制作に励んでいた、下積み期間を持つOh Yeah Wow。プレンダーガスト監督による、5つのシチュエーションを360度シームレスで繋げ、コマ撮りと実写を融合させた2012年のゴティエのMV「Easy Way Out」はYouTubeでの再生数が950万回を突破。この作品をターニングポイントに、一気に世界の舞台に躍り出た。

本作における大きなハードルは、最初のヒキとしても重要な月のセットの制作だったそうだ。岩石の影や隕石を表現し、その中にバンドメンバーをナチュラルに入れこまなければならない。そのハードルを越えるため、制作前の段階でアニマティックをつくり、偽物の月を背景にバンドメンバーがどのように収まるか事前にシミュレートした。またこのセット自体をプレートとして、ポストプロダクションでトラッキングを可能にするため、影やトラッキングの方法などさまざまな工夫を凝らしている。

■遊び心溢れる撮影現場、「Walk the Wire」のメイキング映像

Walk The Wire「Behind The Scenes」
dir: Darcy Prendergast, Josh Thomas|prod co: Oh Yeah Wow
Oh Yeah Wowは常にコンセプト先行で作品を作っている。“The Hobbit”(ホビット)のようなおぞましい映画をからかうため、VFXを使った笑える映像を作りたいという思いから生まれたという本作品「Walk the Wire」。その願望を叶えるためには、ミュージックビデオという領域がうってつけだったようだ。

また、リアルと演技の境界を曖昧にするような演出を実現させるため、Boy & Bearのメンバーに事前通告なしでカメラの外から奇声を浴びせたと、プレンダーガスト監督は語る。

ちょうど休暇で来日し日本を満喫した、Oh Yeah Wowのプレンダーガスト氏とSeamus Spilsbury(シェイマス・スピルズベリー)氏。夕焼けに染まる富士山が絶景。
綿密な計画の手間と、ハイセンスなアイデアが光る本作「Walk the Wire」。遊び心溢れるOh Yeah Wowの笑えるMVを、メイキング映像も合わせてご鑑賞あれ!
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