【コラム】1958年毛沢東・金日成会談にみる韓半島の地政学

 しかし朝中関係は、韓国人が考えるよりも複雑だ。今年10月初め、中国で序列第5位の劉雲山・政治局常務委員が訪朝したのを契機として、中国の対北朝鮮政策は「非核化」をまたも後退させる雰囲気にある。劉雲山常務委員は、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党第1書記と会談した際、真っ先に「韓半島の平和・安定」に言及して「非核化」と「対話・交渉を通した問題解決」を強調した。2013年2月に北朝鮮が3回目の核実験を行った後「非核化→韓半島の安定→対話・交渉」の順になっていた中国の韓半島3原則が、再び「韓半島の安定→非核化→対話・交渉」の順に戻ったという意味だ。先月31日に行われた朴大統領と李克強首相の首脳会談でも、李首相が「非核化」に言及したのは「韓半島の安定」の後だった。

 58年、毛沢東は金日成に「北朝鮮の軍隊も中国をしっかり助けてほしい」と言った。そうして「北朝鮮は38度線を、越南(ベトナム)は17度線を、最善を尽くして守ることが国際的義務」と語った。当時はベトナムも、北緯17度線を境に南北がにらみ合っていた。中国は、韓半島統一後に米軍が38度線を越えることを望んでいない。ベトナムとは、南シナ海の領有権をめぐって争っているが、ベトナムを捨ててはいない。

 最近南シナ海で米中がぶつかる中、今月5日に習主席が国賓としてベトナムを訪問した。これも、ベトナムが米国側に傾くのを防ぐためだ。現在、習主席が首脳と会わない国は北朝鮮くらいだ。1958年であろうと今であろうと、韓半島の地政学的位置に大きな変化はない。

アン・ヨンヒョン北京特派員
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 【コラム】1958年毛沢東・金日成会談にみる韓半島の地政学

right

関連ニュース