【コラム】1958年毛沢東・金日成会談にみる韓半島の地政学

【コラム】1958年毛沢東・金日成会談にみる韓半島の地政学

 1958年12月6日、北京で毛沢東と会った金日成(キム・イルソン)は気分が良かった。6・25戦争(朝鮮戦争)が終わって北朝鮮に残っていた中国軍28万人が、同年10月に完全撤退したからだ。

 金日成は、残留する中国軍がいつか自分の権力を覆しかねない、と心配していた。中国軍の撤退で憂いが消えた金日成は、毛沢東に軍隊の問題を持ち出した。中国外務省の「毛沢東外賓接見談話集」によると、金日成は「現在、北朝鮮には約30万の常備軍がいる。現在の状況から、(軍隊を)減らすのは難しい」と語った。これに対し毛沢東は「減らしてはならない。減らしてはならない」と答えた。57年まで「中国軍28万人がいるので、朝鮮(北朝鮮)は軍隊を削減すべき」と要求していたのとは、180度逆の態度だった。

 金日成が「北朝鮮は、武器を生産する力が不足している」と言うと、毛沢東は「問題ない。(韓半島〈朝鮮半島〉で)戦争が起きたら、中国は何の代価もなしに、北朝鮮へ武器を提供するだろう」と答え、さらに「中ソは北朝鮮の武器工場になるだろう」とも言った。翌59年の10月1日、金日成は中国の国慶節(建国記念日)軍事パレードに出席、毛沢東と共に天安門に上って「朝中血盟」を誇示した。

 今年9月3日、中国の抗日戦争勝利70周年記念軍事パレードで、韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は、当時金日成と毛沢東が立っていた場所に上った。朴大統領は習近平国家主席と首脳会談を行い、帰りの飛行機の中で「韓半島の平和統一のため、中国と共に協力していくと、そういう話になった」「できるだけ早いうちに、韓半島の平和統一をどのように実現していくかについて、さまざまな議論が始まると思っていいだろう」と語った。金日成時代の朝中関係を、韓中関係が代替し始めたというニュアンスに聞こえた。

アン・ヨンヒョン北京特派員
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