人材不足で青息吐息の「半導体大国コリア」

 問題はサムスン電子やSKハイニックスといった大企業の需要はむしろ増えているという点だ。実際にソウル大工学部の材料工学専攻の修士・博士卒業生について最近1年間の就職状況を分析したところ、全体の3分の1以上(39%)が半導体企業に就職していたことが分かった。ファン・チョルソン教授は「供給は減っているが需要は増えているため、ディスプレー、繊維などほかの分野を勉強していた学生たちも半導体企業に就職している。少し前に面談したところ、『トランジスタ』を知らない大学院生が半導体企業に入社すると言っていたので、大変心配になった」と吐露した。

 企業側も即戦力となる人材が入ってこないため、非効率的な人材運用に悩まされている。ある国内半導体企業の幹部は「新入りの研究員に基礎から教えて業務に投入している。企業が国に税金を納める理由は人材育成のような産業基盤を構築してほしいからなのに、このようなことまで全て企業側に押し付けられている状況だ」と話した。

 半導体産業は現在、韓国の輸出額の11%を占める優良な基幹産業だ。だが現場では危機意識が渦巻いている。政府、大学、企業はメモリ市場での世界トップの座を守ることに躍起になっているだけで、今後30年で予想される半導体の新技術競争に打ち勝つための高級人材の育成を怠っているというわけだ。世界の半導体業界は現在、メジャー企業による相次ぐ合併・買収(M&A)、政府のバックアップを受けた中国企業の急伸によって激しく揺れている。

 半導体素子分野の専門家であるソウル大工学部のイ・ジョンホ企画部学長は「最近では、政府の研究費が集中するナノ・バイオ専攻など新たな分野に移っていく教授も多い。今のような状況が続けば、早ければ7-8年、遅くとも10年以内に中国に追いつかれてしまうだろう」と話した。

朴淳燦(パク・スンチャン)記者
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース