このたび免疫を抑える薬である「抗TNF薬」による治療を受けた5人に1人で何らかの皮膚の病気が発生すると分かった。
抗TNF薬の用量が多いと皮膚感染症のリスクが高くなっていた。
約580人を追跡調査
フランスのナンシー大学病院の研究グループが、消化器病の専門誌アメリカン・ジャーナル・オブ・ガストロエンテロロジー誌オンライン版で2015年8月号に報告したもの。
抗TNF薬は、TNF阻害薬や抗TNF-α抗体などとも呼ばれる。腸や感染などの炎症を抑える薬で、サイトカインと呼ばれる炎症に関わるTNFを標的として効いてくれる。
研究グループは、1カ所の医療センターで抗TNF薬による炎症性腸疾患の治療を受けた成人約580人を対象として、皮膚の病気全体、皮膚感染症、乾癬の累積発生率と危険因子を調べた。
皮膚疾患で投薬中止も
1カ月~約15年追跡した間に、約180人(20%)が皮膚の病気を発症した。
乾癬と皮膚感染症が最も多く、10年間の累積発生率は約30%と20%で、そのうちそれぞれ20%と3%の人で抗TNF薬の中止につながった。乾癬で中止した人の半数は、皮膚の治療により抗TNF薬治療を続けることができた。
乾癬で別の抗TNF薬に変えた場合、57%で再発があった。
薬が多いと反応出やすく
潰瘍性大腸炎は皮膚感染症のリスクがクローン病の4分の1だった。
抗TNF薬の用量が多いと皮膚感染症の発生率が2倍になり、用量が増えるほど反応が強くなると見られた。
抗TNF薬治療を開始する年齢が若いと皮膚の病気の発生率が2倍を上回った。
炎症性腸疾患の治療に抗TNF(腫瘍壊死因子)薬を長く使っていると、皮膚の病気を含む有害な反応のリスクが増加するので注意すると良さそうだ。