『美味しんぼ』に登場したあのお店の今を知りたい!そして紹介されていた料理や食品を存分に味わい、今現在の実在店の姿を紹介したい……そんな興味や使命感ではじまったこの企画。
5軒目の今回は、2巻第1話に登場した「海員閣」です。
…ただ、本シリーズでは今まで食べて笑顔になるような料理を紹介してきましたが、こちらのお店ではなんと、山岡さんは口にすらしませんでした!
サービスが悪く、「食すに値しないお店」として紹介された、初めてのケースなのです…。
初めての「行こう、出るんだっ!」
ある日曜日、東西新聞の面々は横浜中華街に食べ歩きにやって来ました。
花村さんのガイドのもと、雑誌に紹介され大行列ができているお店に入ることに。
山岡さんも渋々行列に並び、やっとお店に入ることができました。
しかし!
ちょっとびっくりしながらも席について幾つかオーダー。
しかし、ショッキングな出来事が次々と起こります。
さらに、
そこで、山岡さんは一言、
美味しんぼの中では何回か「出よう!」とか「出るんだ!」が炸裂しますが、
こちらのお店は記念すべき初めてのお店(笑)
このストーリーを読んだ時、「行きたくないなぁ」と思ったものでした…
不名誉な紹介を受けたお店の現在は?
しかし、不名誉なモデルとなってしまった海員閣は、現在多くのファンを生んでおり、根強い人気を誇っております。
サービスの面、味の面の両面でどうなんだろうか?と、この度、検証に伺ってきました。
土日は今でも長蛇の行列と聞いていたので、ある平日の夜に中華街へ……
しかし、平日は 休日に比べて人通りが少なく、
お店にも行列がありません!
ラッキー!とばかりにいそいそとお店に入ると、女将さん(お婆ちゃんが)愛くるしい声で、いらっしゃ〜い!
少しこわごわと入ったのですが、身構えて損したほどにフレンドリー。
お店も年季が入っており、妙に落ち着きます。
まずはビールを頂きます。
ビール大瓶(800円)
古めかしい雰囲気のお店では、生ビールよりも瓶が映えるように感じます。
そして、定番の【シューマイ】を頼みます。
烧賣(シューマイ) (500円)
ちらのシューマイは皮が薄いというよりも非常に少なく、メチャクチャ肉々しいです。
みっちり詰まった肉は噛みしめる喜びがあり、干し海老と干し貝柱の旨味が肉の旨味とシェイクハンズ。
適度に塩が利いており、そんなにオイリーではないのでパクパク頂けます。
名物の【豚ばらそば】と【牛ばらそば】は頼むつもりなので、栄養バランスを考えて野菜の炒めものをオーダー。
炒時菜(季節の野菜の炒め物)(1,600円)
野菜は豆苗だったので、少し高いなあと思ったのですが、これまた美味しい。
豆苗は香り良くシャキシャキで、甘みがあり、海鮮のダシを使って、シンプルながらに箸が止まらない、プロの野菜炒めとなっております。
老酒があったので、ビールの後にもう一杯。
老酒一合(650円)
老酒を頼んだタイミングで、すぐさま女将さんがお冷を持ってきてくれて、
またまたズッコケました。
なんだ…サービス良いじゃないか、と。
気分が良くなり、本命の【豚ばらそば】と【牛ばらそば】を頼みました。
扣肉面(豚ばらそば)(850円)
牛腩面(牛ばらそば)(900円)
両方、お値段が嘘みたいなほどの肉が乗っております。
麺は細麺で角が立っており、結構硬めの茹で加減です。
豚ばらの方は煮込んだものを焼いており、牛ばらの方は煮込んだものを青菜とともに炒めております。
牛ばらの方はタップリと八角を使ってもいるので、香りの面では豚の方がさっぱりです。
しかし、豚ばらはトロッとした食感と同時に、噛みしめると脂がジュワッと滲み、
パンチの有る味わいです。
こちらの青菜は茹でたものなので、豚の脂を和らげてくれます。
牛ばらは炒める際に片栗粉でとろみを付けておりますので、あんかけのようなテイスト。
いやはや、各々異なる魅力があり、ハッキリ言って、食べずに出て行った山岡さんは可哀想です(笑)
最後にデザートを。
芳香杏仁豆腐(400円)
こちらはデザート担当の張さんが1年半かけて作ったという力作。
確かに労を感じる優しい食感が魅力で、ミルキーな風味も 個性的です。
美味しんぼに登場したお店の過去と現在
今回、ネガティブな紹介を受けたお店に行ってきましたが、過去と現在が違いすぎて、驚きました。
ネガティブがポジティブに変わった素晴らしい事例だと思いますが、逆にポジティブがネガティブに変わったお店もあるはずです…。
飲食店は「水物」なので、長年、味のレヴェルと人気を維持するのは極めて困難です。よって、美食のバイブル「美味しんぼ」に載ったお店であっても、現在の状態を確認することは非常に重要だと身をもって感じました。
そして、それと同時に、2巻第1話の最後で山岡さんが放った言葉は、今でも十分通用する金言だと思います。
消費者にとっても、料理人にとっても。
「人気店」や「予約困難店」というだけでありがたがらず、あくまでも自分の舌で見ぬくことこそが、良いお店を見つけ出し、ひいてはそのお店を長年応援することに繋がるように感じます。
お店情報
海員閣
神奈川県横浜市中区山下町147
045-681-2374
17:00~21:30
月曜定休
美味しんぼ 2巻(原作:雁屋哲、作画:花咲アキラ)
書いた人:
Yuya Otani
手料理も愛するタベアルキスト。鮨、日本料理、中国料理、エスニック料理を特に好む。ネットやメディアの情報だけではなく、信頼出来る友人や料理人の方の情報も参考にして食べ歩いている。「美食との出会いは、人生を輝かしくするものだ」と語る。
- Webサイト:Tabearukist Association
- facebook:Tabearukist Association
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