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道路標識が老朽化で倒れ事故相次ぐ 滋賀
11月6日 15時50分

滋賀県内に設置されている道路標識が、老朽化の影響で過去5年間に少なくとも18本倒れ、このうち5本で子どもがけがをしたり、走行中の車に衝突したりする事故が起きていたことが、自治体や警察などへの取材で分かりました。
ことし9月、大津市で、21年前に設置された道路標識が腐食して倒れ、標識を動かそうとした小学1年の男の子が軽いけがをし、滋賀県警察本部と滋賀県は標識の一斉点検を進めています。
事故を受けて、NHKが、滋賀県内の道路標識を管理する国や県、警察、それに19の市と町に取材したところ、5つの市では道路標識の設置状況について時期や数が全く把握できておらず、6つの市と町は合併前の旧自治体の情報が引き継がれていないなどの理由で一部しか把握できていないことが分かりました。
一方、把握できているおよそ8万4000本の道路標識のうち、過去5年の間に腐食などが原因で少なくとも18本が倒れ、5件の事故につながり、2人がけがをしていたことが明らかになりました。
長浜市では3年前、倒れた標識の根元につまずいた70歳の男性が手や足にけがをしています。
また彦根市では5年前、倒れてきた道路標識が走行中のトラックにぶつかってライトが壊れたほか、東近江市と愛荘町では倒れた道路標識に乗用車がぶつかり、ドアミラーが壊れたり、タイヤがパンクしたりする事故が起きていました。
道路標識の維持管理については具体的な取り決めはなく、現場の担当者の判断に委ねられているのが実情です。滋賀県警察本部交通規制課の塚田豊美次席は、「標識の腐食については注意が向きにくかった。事故を教訓に、危険な標識は年内に交換したい」としています。

標識 耐用年数の目安は

標識の耐用年数について、滋賀県警察本部は、目安は20年ほどだとしていますが、具体的な規則はありません。
また滋賀県は、特に目安はなく、点検を通して不具合があれば順次交換する対応をとっているとしています。
道路標識の製造メーカーによりますと、標識を安全に使うことができる期間の目安は10年ほどだということです。ただ、事故で衝撃を受けた場合はもちろんのこと、冬場に雪が積もった場合に道路にまかれる融雪剤に含まれている塩化カルシウムは標識のさびにつながるほか、動物の尿などによって腐食が早まって、安全に使える期間が短くなるケースがあるということです。
滋賀県警察本部によりますと、公安委員会が管理するおよそ6万5000本の標識のうち、15%に当たる1万本ほどは20年以上前に設置されたものだということです。
一方で、滋賀県内の各自治体では、いつ設置された標識なのか把握できていないケースも多く見られ、新しいものに交換する時期については決まりもないことから、担当者が危険だと判断した場合に交換する対応が一般的だということです。

専門家「住民から情報収集も必要」

インフラ老朽化の問題に詳しい立命館大学理工学部の野阪克義准教授は、「設置から時間がたって劣化しさびついた標識は、子どもがぶつかったり、車が少し当たったりといった、ちょっとした力が加わっただけでも、折れて倒れる危険度が増している。点検して老朽化に気付くことが必要だが、標識の数は膨大で、すべての状態を把握することは難しい。自治体などが地域の住民に注意喚起を行い、情報を集めることも必要ではないか」と話しています。

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