佐藤 逆に英語化のメリットは何ですか?
ニーリー 1つめは、世界中のリソース(人材、予算、情報)にアクセスできることです。たとえばアメリカ、イギリス、日本のマーケティングチームが同じリソースを共有することができれば、社員はリソースを有効に活用できて、効率的に仕事ができるようになります。
2つめは、コミュニケーションの効率が上がることです。英語を話せば、職場以外でも交流を深めることもできます。外国人の同僚と食事に出かけたり、雑談をしたりすれば仕事がやりやすくなりますね。
3つめは、多様性を受け入れる企業文化に変わることです。もし全員が同じ言語を話さなければ、同じ言語を話す人同士でグループができます。日本人の中に、日本語を話せない外国人は入っていきづらいものです。言語が障壁となってチームの中に入れないという現象は、多くのグローバル企業で見られますが、英語化が進めば、こうした障壁はなくなります。
佐藤 外資系企業の日本支社では、アメリカ人のCEOや役員のために専属通訳者を雇っているところもあります。なぜそれでは不十分なのでしょうか。
ニーリー もちろん会議などで通訳者が必要な場面というのは数多くあります。しかし日常的な業務で通訳者をはさんで会話するのは無理があるということです。通訳者をはさめばコミュニケーションに2倍の時間がかかりますし、翻訳の過程で情報が省略されてしまうこともあります。相手との距離感も縮まりません。
通訳者にはそれぞれ専門があり、必ずしもビジネスの専門家であるとは限りません。ITや金融などの専門性の高い話についていけないこともあるのです。そうするとコミュニケーションにさらに時間がかかります。
佐藤 英語を片言しか話せなくとも、直接話したほうがよいということですか。
ニーリー 通訳を介すよりはずっと効率的だと思います。どんなにつたない英語でも、専門的な知識が共有されている者同士であれば、言いたいことは伝わります。
>>続編『“全社的な”英語公用語化が必ずしも正しいとは限らない』は11月6日(金)公開予定です。
