【ソウル聯合ニュース】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が今月末もしくは来月初めにソウルで開催予定の韓中日首脳会談を機に安倍晋三首相と韓日首脳会談を開催することに言及したことで、歴史問題で冷え込んでいた韓日関係に変化が表れる可能性が出てきた。
訪米中の朴大統領は15日(米東部時間)、著名シンクタンクの米戦略国際問題研究所(CSIS)での演説直後に行われた質疑応答で韓中日首脳会談に言及し、「この機会に安倍首相と首脳会談を開催できると思う」と述べた。事実上、韓日首脳会談を開催するという意思を示したものと受け止められている。
実現すれば、両首脳による韓日首脳会談は初めてとなる。朴大統領は就任以降、旧日本軍の慰安婦問題をはじめとする歴史問題のあつれきを理由に安倍首相との首脳会談を行ってこなかった。
だが、両首脳は昨年11月に中国・北京で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議や今年3月にシンガポールで行われたリー・クアンユー同国初代首相の国葬で短い会話を交わすなどしてきた。
朴大統領が安倍首相と初の首脳会談を行うことを決めたのは、行き詰まった韓日関係を未来志向の関係に変えるという強い意志の表れとみられる。
韓国政府は韓日国交正常化50年を迎えた今年を両国関係の正常化に向けた元年とし、関係改善の足かせとなっている慰安婦問題の解決に注力してきた。
6月22日の国交正常化50周年記念式には、両首脳が自国で開催された相手国のレセプションにそれぞれ出席し対話ムードを盛り上げた。
朴大統領と安倍首相の首脳会談は、歴史問題とそのほかの問題を切り離す「ツートラック戦略」を首脳レベルでも構築することを意味する。
今回、首脳会談で関係改善のきっかけが整えば両首脳が相手国を訪問し、再び首脳会談を行う可能性もある。
首脳会談での争点は慰安婦問題を含む歴史問題になる見通しだ。
安倍首相が慰安婦問題についてどう言及し解決策を提示するのか、過去の侵略と植民地支配をどのように表現し立場を表明するのか注目される。
韓日は昨年から9回にわたり局長級協議を続け慰安婦問題を議論してきたが、首脳会談を目前にした現時点まで意見の隔たりを埋められずにいる。
首脳会談でも慰安婦問題解決の糸口を見いだせなければ、問題の解決が先延ばしになる公算が大きくなる。
韓日首脳会談では、日米主軸で大筋合意した環太平洋連携協定(TPP)や韓日自由貿易協定(FTA)=日本側名称:日韓経済連携協定(EPA)=などの経済問題についても意見を交わすとみられる。
また、北朝鮮の核問題などをめぐる安保協力策や、このほど集団的自衛権の行使容認を含む日本の安全保障関連法が成立したことを受け、有事の際の朝鮮半島への自衛隊派遣などについても話し合う見通しだ。
ただ、首脳会談を開催しても両国関係が改善の方向に向かうかは不透明だ。
日本側が慰安婦問題の解決に誠意を見せ積極的に取り組めば、両国関係の改善に弾みがつく。
だが、慰安婦問題など歴史問題の解決を先送りすれば、関係改善の機運に水を差すことになるというのが、専門家らの大方の見方だ。