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京都の地下鉄キャンペーンキャラがライトノベルになった理由

2015年10月14日 09時50分

ライター情報:木俣冬

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『京ガールズデイズ〜太秦萌の九十九戯曲〜』幹・著 加茂川・イラスト 講談社ラノベ文庫

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京都の地下鉄をPRする漫画キャラクターが、ライトノベルになっていっそう生き生きと動き出した。
京都の地下鉄に乗っていると、女子高生3人組が楽しそうにしているポスター(イラスト・賀茂川)が目につく。ハーフアップでおリボンの太秦萌、金髪ショートボブの松賀咲、ツインテールで眼鏡っ娘の小野ミサというみごとにキャラ立ちした彼女たちは「地下鉄に乗るっ」というタイトルで、京都市交通局が地下鉄利用を促進しようとキャンペーンのイメージキャラで、キャンペーンCMでアニメにもなっている
ライトノベル「京・ガールズデイズ〜太秦萌の九十九戯曲」では、3人のほかに、エキセントリックなお姉サンキャラ・烏丸ミユや東京から転校してきた少女・白川澄が加わって、京都のパワースポット巡りがはじまる。

そんな京都を支えてるのが地下鉄で


下鴨神社、二条城、祇園、太秦の蚕ノ社神社、六角堂・・・といった観光客には人気だが、地元のひとたちはあまり行かない場所(東京でいえば昔東京タワー、いまスカイツリーにまだ行ってないみたいな感じ)を、あえて京都女子に巡らせるために、謎の精霊・都くんが現れ、彼の導きで登場人物たちが不思議な体験をするというファンタジックな物語になっていて、京都に詳しくない読者も、京都に詳しい読者もどちらも楽しめる。とくに京都ビギナーには京都の簡単な地図やクイズなども盛り込んだ親切構成。
精霊は自分たちの世界を「京都のもうひとつの姿だよ」と言う。京都といえば、魑魅魍魎が跋扈するイメージもあって、この世とあの世、ふたつの世界という舞台設定はとりたてて珍しいわけではないが、この小説にはさらにもうひとつの姿が描かれている。
それは、地下鉄だ。

東西を繋ぐ東西線、南北を繋ぐ烏丸線が、京都の街の下で十字に根を張っている。地下鉄好きの萌は「京都は古い街で歴史的な建物が多いから、地上ではあんまり電車を走らせられないし。でも観光都市としては、交通機関もちゃんとしてないと駄目で。で、そんな京都を支えてるのが地下鉄で──」と語る。
萌たちが訪ねるスポットも地下鉄に乗って行ける場所で、ところどころ、萌の地下鉄愛と地下鉄情報が出てきる。「地下鉄に乗るっ」キャンペーンキャラの物語だから地下鉄推しなのは当然で、よくできたPR小説になっている。観光客は京都に来たとき、地下鉄に乗るという発想があまりないらしいが、そこを地下鉄に乗ってほしいというのが交通局の願い。

ライター情報

木俣冬

著書『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、『ケイゾク、SPEC、カイドク』、ノベライズ『リッチマン、プアウーマン』『デート~恋とはどんなものかしら~』

URL:Twitter:@kamitonami

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