レジー「いやー最高だったねPerfumeの武道館」

 

司会者「921日から続いた各種イベントが終わりました。結成15周年、メジャーデビュー10周年の記念イベントです」

 

レジー「ほんと素晴らしかった」

 

司会者「この人たちのライブは基本ネタバレ厳禁ということで、最終日の107日のライブが終わった直後から関連ツイートがTLに溢れてましたね」

 

レジー「もうまじで最高だったよ」

 

司会者「さっきからそれしか言ってませんが」

 

レジー「そういう感想しか出てこないくらいのライブだったんだよね。というわけで、無事にすべての行程が終了したので今回のライブについての個人的振り返りをやりたいなと思います。僕が行ったのは923日の三人祭と927日の「LIVE 3:5:6:9」の2日目です」

 

司会者「どちらもアリーナ席でしたね」

 

レジー「今まで武道館、代々木、たまアリ、東京ドーム、京セラドームと大箱で見たけどアリーナ席初めてでした。PTAさまありがとうございます。そんな感じで、まずは三人祭の話から」
 

 

三人祭で示した「J-POPのハブ」としての可能性

 

司会者「「三人祭」はイベントタイトル通り、Perfumeと同じく三人組だけが出演するイベントです」

 

レジー「これまでは対バン形式で各地でやってた「Perfume FES!!」の発展形って感じだよね。司会者がいたり、セット自体も比較的シンプルなものだったり、いわゆる「フェス」感が強調された形になってた。なのでPerfumeのライブらしい「テクノロジーを駆使した演出」みたいなのはなかったけど、その分3人のフィジカルな魅力を堪能できました。1曲目の「Pick Me Up」からすごかったなあ。しかし「NIGHT FLIGHT」があんなにエロい曲だったとは」

 

司会者「はあ」

 

 

レジー「この動画は6年くらい前のやつだけど、古い曲に新たに色気が付与されていってるのはいいですね。三人祭に関しては、パフォーマーとしてのPerfumeはもちろんのこと、オーガナイザーとしてのPerfumeという面でも良かったです」

 

司会者「それぞれの出演者に対して送ったオファーVTRも紹介されていました」

 

レジー「どういう意図のイベントかが丁寧に伝わってきました。この日はトップバッターがNegiccoだったんだよね」

 

司会者「初っ端から「圧倒的なスタイル」で、恒例のラインダンスはPerfumeも出てきて6人でやってました」

 
レジー「いきなりクライマックス!って感じだったねあれは。最近のPerfumeNegiccoの絡みは良いよね。これに関しては以前のコンバットRECさんのツイートが端的にまとめてくださってます」



司会者「地元を背負って、苦労もしつつ、いろんなシーンの人たちを味方につけながら大きくなろうとしている、というPerfumeがたどった道筋をNegiccoも進んでいると」

 

レジー「いい話だ。次の空想委員会、Perfumeとのコラボがなかったのは何か気の毒だった。WEAVERは結構久々に見たけど「シークレットシークレット」のカバーはいけてたね」

 

司会者「間奏でPerfume3人も出てきて、6人でのピアノ連弾も披露しました」

 

レジー「アリーナ前の方の下手きわきわの席だったので、ピアノ弾いてる3人の後ろ姿というレアなものが見れましたよ」

 

司会者「WEAVER3人はPerfumeと仲良しなんですね」

 

レジー「事務所も一緒だしね。「6人でご飯食べに行ったことがある」って話をしたとき会場がちょっとざわっとなったのが面白かった。僕もざわっとなった」

 

司会者「空気を察してか「すいません!」って言ってましたね」

 

レジー「あのリアクション良かった。WEAVERは音源よりライブのが全然いいよね。以前MUSICAのレビューで結構辛いこと書いちゃったんだけど、ライブのフレッシュさがもっと音源に反映されれば・・・!とか思いながら見ていた。で、次に見た凛として時雨は初だったんですけど」

 

司会者「すごかったですね」

 

レジー「一瞬で武道館の空気変わっちゃったもんね。まったく通ってきていないバンドだったんだけど、ほんとにかっこよかった。あと今回のライブは演奏後にPerfumeのメンバーとサブステージでトークするコーナーが設けられてたんですけど、そのときのピエール中野がまたすごかった」

 

司会者「Perfume3人、司会のとーやま校長、あとピエール中野の5人でのトークでした」

 

レジー「ちょうど席の目の前でそれが行われてたんだけど、Perfume3人がいるのに思わずピエールを見てしまう吸引力。Perfume愛が溢れまくってたね。ほとばしってた」

 

司会者「凛として時雨の次がフジファブリックでした」

 

レジー「一緒にやるのは「若者のすべて」かな?と思ってたら「夜明けのBEAT」だったね。『モテキ』のつながりを忘れてた」

 

司会者「あ~ちゃんは山内総一郎と仲良しなんですね」

 

レジー「なんか親密な感じしたよね。全然知らなかった。フジファブがこの日やった「Green Bird」良かったです」

 

司会者「アゲハスプリングスが絡んでますね」

 

レジー「一番新しい「GirlGirlGirl!」も今までにない感じだし、また新境地を開拓してていいなあと」

 

司会者「ここまでざーっと三人祭の出演者を振り返ってきましたが」

 

レジー「まあ見事にバラバラなメンツだよね。考えてみたらフジファブとNegiccoが一緒に出るイベントとかなかなかレアなんじゃないかな」

 

司会者「この辺はPerfumeの求心力あってこそですよね」

 

レジー「今回のライブパンフレットにも「ありがたいことに、結構「声がかかるの待ってますけど」「オファーまだ来てませんが」と言われることも多くなってきたんです」という話が載ってたんだけど、そもそもファンが多いんだろうね業界の中でも。あらゆるところに越境していろんなことをやった結果、謎のハブ化を遂げているというか」

 

司会者「MJの司会をやってるのも大きいですよね」

 

レジー「そうそう。Mステのタモリと言ったら大げさだけど、満遍なくいろんな人が出る音楽番組の司会だということも含めて、細分化されまくっている日本の音楽シーンのちょうど交わるところにいる人たちなんだよね。三人祭はそういうことを思いました」

 

司会者「そのうちほんとに野外で複数ステージ作って夏フェスみたいなことができちゃいそうですね」

 

レジー「ほんとだよね。これまでの対バン企画で出てた人も含めれば相当豪華なイベントになるよね。ついでにお笑い芸人にも好きな人いるみたいだから、お笑いのステージも作ったりして」

 

司会者「大トリではPerfumeらしい派手な演出もかますと」

 

レジー「どう考えてもいいイベントになるな。早く企画してほしい」

 

 

「アイドル」の向こう側へ、LIVE 3:5:6:9

 

司会者「続いて、ワンマンライブ「LIVE 3:5:6:9」の話にいきましょう」

 

レジー「何はなくても円形ステージですね」

 

司会者「10年の東京ドーム以来でしょうか」

 

レジー「これは明言されてないけど、去年の代々木第一体育館でのライブが「09年代々木のリベンジ」的な意味合いがあったのと同じで今回の円形ステージにも「10年東京ドームのリベンジ」みたいな気持ちが込められてるのかなとかちらっと思った。あの時のライブってメンバー的に納得いってない部分があったような話も後から出てきてたし、超個人的な話だと普通のスタンド席だったのにスクリーンの場所との折り合いが悪くてステージが結構見えづらくて、それでライブに没頭できなくて「チームPerfumeでもこんなことあるのか」と感じた記憶もあって。そういうものの払拭みたいなことがあるのかなとか。わからないですが」

 

司会者「今回の目玉として、リストアップされた過去曲の中から歌う曲をその場で振るサイコロの出目で決める企画がありました」

 

レジー「曲決めて、円形ステージだから正面どこにするか決めて、それに合わせて踊りのフォーメーション決めて、っていうのをその場でやると。このパートはほんとにすごかった」

 

司会者「音響や照明も関係するわけで、チームとしての総合力が問われますね」

 

レジー「うん。特にすごかったのは3曲連続でやるところで」

 

司会者「27日は「Twinkle Snow Powdery Snow」→「1mm」→「彼氏募集中」という流れでした」

 

レジー「この中で「1mm」についての動きを決めてるときに、あ~ちゃん主導で軽くやり取りする中で3人の意識がぱーっと揃った瞬間があったんだよね。あそこはマジで鳥肌でした。チームPerfumeがすごいのは当然として、そのフロントに立っている3人がやっぱりすごいというのを証明したパートだったように思います」

 

司会者「あの場で3人だけでさくさくいろいろ決めていく感じは、よくある「アイドルは大人の操り人形」的な話の対極にある光景でしたね」

 

レジー「さすがにそういうことを無邪気に言う時代遅れな人は減っている感じするけど、確かにそんな話を完全に無効化する迫力があった。今現在Perfumeはアイドルかアーティストかみたいな話は不毛なのでしませんが、少なくとも「グループアイドル」というものを突き詰めていった先にこういう世界が広がっているというのは、みんながみんなできることではないにせよアイドルシーンの希望になる気がする。あとこの企画はここ最近のPerfumeの基本線である「圧倒的に構築されたものを見せる」っていう考え方に揺らぎを与えているというか、その場で表現が生み出されていく即興的な側面を提示しているのも興味深かったです。有機体としてのPerfumeを取り戻すというか。テクノロジーの受け皿的な位置づけが最近は強調されがちだけど、そんな中で改めて「デジタル」と「アナログ」のバランスを取ろうとしてるのかな」

 

司会者「そんな企画もありつつ、後半戦の最初の「STORY」では映像を駆使したスーパーな演出が繰り広げられました」

 

レジー「上空から3人の映像が降りてくるんだけど、最初はほんとにどれが本物の3人なのかわからなかった。あれ見てて思ったんだけど、もう3年くらいしたら「本人たちがいなくてもライブができる」みたいなことがリアルに起こりそうだよね。たとえば今の状態における動きの記録をデータ化してとっておくことで、いつでも2015年時点の3人のダンスを出力できるとか」

 

司会者「画期的ですねそんなことができるようになったら」

 

レジー「もちろんテクノロジーの進展次第だと思うけど、「STORY」はそういう未来を感じさせるようなパフォーマンスだった。アイドルとしての「永遠の命」を手に入れる最初の存在としてのPerfume

 

司会者「「アイドル」と「永遠の命」、現状の定義では矛盾しますよね。終わりがあるからこそ美しい、みたいな価値観もあるような気もしますし」

 

レジー「そうね。で、その価値観って、やっぱり本人たちにものすごく負担がかかるわけですよね。終わるから美しい、だけじゃなくて、終わらないアイドルのあり方というのはやっぱり必要だと思うし、『アイドルの読み方』でお馴染みの香月孝史さんとも以前そういう話をしたことがあるんですけど。おそらくPerfume3人も、結婚とか出産とかでグループとしての活動を止めざるを得ない瞬間ってそのうち出てくると思うんですよ。そういうときに、最先端の技術を駆使して今までには考えられなかったことが起こるかもしれない。この辺はあくまでも単なる妄想ですが」

 

 

最強のブランドとしての「チームPerfume」と“WE ARE Perfume

 

司会者「今回のライブ見た後にこんなツイートをしてましたが」
 



レジー「ほんとあの背中を押される感じはなんなんだろうね。こういうのこそ「ブランド体験」って言うんじゃないのかな。単に好きとかでなくて、精神の深いところに働きかけてくる何か。マーケターが軽々しく言いがちな「ブランドとの絆」なんてものを実現できているケースはかなり少ないと思うんだけど、Perfumeというブランドはそういうものを提供できている稀有な例なんじゃないかなあ。もちろん自分が渦中にいるからってのは差し引いて考えないといけないけど、少なくとも自分が好きな他のミュージシャンとは感じるものが違うというか。あらゆる活動が一貫して同じ方向に揃っているからこそ、ブランドとしての提供価値とファンの期待することがぶれないというか。そんなことを思いつつ、こういうツイートもしたんですけど」



司会者「「WE ARE」感ね」

 

レジー「この「WE ARE」って表現はもちろん「Perfume3人+スタッフ=チームPerfume」のことを指してるんだろうけど、たぶんそれだけに解釈を集約させちゃうとPerfumeという存在のことを正確に読み取れないような気がしていて。Perfume3人が中心にいて、その周りにスタッフがいて、さらにその外側にファンがいて、っていう同心円状の構造で「Perfume」という概念が広がっていく感じにこそこの人たちの強さの秘密があるのかなと」

 

司会者「同心円っていうのがポイントですかね。一定の距離を保ちつつも、確かなつながりが感じられるというか」

 

レジー「「憧れ」感と「同士」感の共存というか。ほんとこういう事例って世の中的に見てもあんまりないんじゃないかな。そろそろちゃんとブランド論の俎上で研究すべきよ。「ブランド論で読み解くPerfumeの強さ」みたいなのがあって然るべき」

 

司会者「学術的にね」

 

レジー「そうそう。ブランド価値を蓄積していくっていう観点でのいろんなヒントとかがある気がするわ。ちょっとそんなこともそのうち考えていきたいなと思います。今回はこんな感じで。このライブについては他にもポイントがあると思うので、形を変えてまた取り上げられればなと思ってます」

 

司会者「わかりました。次回はどうしますか」

 

レジー「引き続きPerfume話やるか、別のネタを挟むかは一旦未定で」

 

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」