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2015-10-12 本日は「ミステリー大特集」(10月7日は「ミステリー記念日」)

野球漫画「おおきく振りかぶって」の駆け引きが、もはやミステリーの一種である件。(ミステリー特集2)

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元はtwitter投稿で、再構成をしています。


ミステリー特集2】

ミステリーは謎と、その論理的解決があればよく、パイプの探偵もトレンチコートの刑事も、マントの怪盗やピエロ殺人鬼も必要としない…というのは常識だが、そういう視点で考えると、ひぐちアサおおきく振りかぶって」初期の試合は、極上のミステリーだなあと思う。



もともと、この作品の主人公…ピッチャーの三橋は、最初の特殊能力として、独特の「まっすぐ」(ストレート)を持っていた。

速度や回転に特徴があり、普通の感覚では捉えにくい球だ。

ここがまずすごかった…悪い意味でのSF的、漫画的(これ漫画だけどさ)な魔球じゃなくても、ほんのちょっとのそんなアヤが、てきめんに打ちにくくする。

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おっと、

主人公のまっすぐの特徴、いいまとめがあった。

http://blog.livedoor.jp/nanj_bom/archies/34348125.html

しかし強豪校の四番レベルに対しては『最初の打席は有効だが、1、2打席この球を見たら見破られる可能性が高い』のである。だからどう、ふつうは変化球でかわし、ここぞという時だけ「まっすぐ」を投げるか、その打者までにどう走者を殺すか…

そんな駆け引きが延々と描かれるのである。


テニスも「ベイビーステップ」、

サッカーも「GIANT KILLING」…などなどを読むと休憩時間などに、やはり戦略のバトルがあると分かるが、それにしても野球は、ルール上「駆け引き」と「戦略」を打席ごと、イニングごとに展開する余地がありすぎる。

日本で野球が、輸入直後から大人気スポーツスポーツの王を譲らなかったのは、このへんにあるのかねえ。でもアメフットも米国で人気か。米国では「攻守」の色分けがはっきりしたスポーツが人気が出る、とも聞くが例外も多いので、話半分に考えておこう。



閑話休題、「おおきく」話にもどる。

おおきく振りかぶって」をミステリー感覚で読むとすると、特に面白いのが4巻から始まる西浦高校vs桐青高校。前も一回どこかで書いたな…。

その「走塁」をめぐってのストーリーだ。

おおきく振りかぶって(4) (アフタヌーンKC)

おおきく振りかぶって(4) (アフタヌーンKC)

主人公のチーム・西浦高校には、本来なら超強豪校から誘われてもおかしくないような、センスに富んだ天然の大天才・田島が3番にいる。(自分の家から近い高校として、西浦を選んだ)

で、この田島は、なんと相手ピッチャーの背中のしわの様子で、つぎの動作が牽制なのか、本当に投げるのかを見破ることができるのだ!

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それを利用し、田島の号令で百発百中に近い走塁を西浦はできるようになり、試合を優位に進めるのだが…当然、その田島本人が打席にいたり、塁に出たらそれはできなくなる。

前年優勝の超強豪高である桐青は、もちろん監督も名うての知将だが、この”トリック”にはさすがの彼も難渋する

「フォームを盗まれた?」

「でも、ならば何で、ここで走らないんだ?」

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しかし、少しずつ推理の材料は増え、知将(=探偵)は謎に迫っていく。そして、その一方でイニングは進み…「走塁の謎」と同時に、三橋の投げる「まっすぐ」の 謎もあれこれと「推理」によって明らかになっていく。

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そこから「まっすぐ」を巡る攻守の駆け引きもさらに激化、深化する……「秘密がばれつつある」ならば何を決め球にするのか。カウントをどう稼ぐか、その順番はどうするか。残りイニング、次の打席があるかも考えねばならない。

「1点を許す回」だってある。「失点するなら、どう失点するか」。

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逆に、そんな読みを越えた「イチかバチか」が奏功したり。

それがスポーツ




……てな訳で「ミステリーは好きだけど野球は興味ないなあ」という人も、シリーズ前半でもあるので、この西浦ー桐青戦だけでも読んで貰いたい。

逆に「野球は好きだけど、ミステリーはねえ…」という人も…。

多分、野球ミステリーとかもあるんじゃないかな?

それは読者の情報提供を待つ。

(了)