大気汚染問題のある専門家は「フォルクスワーゲンだけでなく、各国の自動車メーカーが販売してきたディーゼル車の大部分が、走行時に窒素酸化物を大量に排出してきたことは(専門家の間では)公然の秘密だった。韓国をはじめ各国の政府もかなり前からこのような事実を把握していたが、産業競争力などを理由に、制裁を先延ばしにしてきたのが現実だ」と話した。排気ガスの環境基準を大幅に強化しても、ひとたび認証試験をパスしたディーゼル車が窒素酸化物などを大量にまき散らしながら走行するという状態が長期間続いたというわけだ。
別の関係者も「事実上、韓国国民の健康を担保に(政府が)産業界の便宜を図ってきたのが現実だ。今後、ディーゼル車に対する規制を大幅に強化する必要がある」と指摘した。韓国のディーゼル車は2005年の565万台から、昨年には794万台と、10年間で229万台増加した。
走行しているディーゼル車に対する検査や取り締まりをおろそかにしたと指摘する声も出ている。政府の関係者は「自動車に対する精密検査を行う際、ディーゼル車よりも窒素酸化物の排出量が少ないガソリン車は、窒素酸化物をどれだけ輩出しているかなどの検査を行っているが、ディーゼル車は精密検査や定期検査、随時の検査などで、窒素酸化物の排出量の項目が除外されていた」と話した。オゾンの濃度を引き下げるためには、まずこのような問題から改善していかなければならないというわけだ。