韓国のTPP加盟、最大の障害はコメ市場開放

■自動車業界への影響

 TPP加盟が実現した場合、業種別で悲喜が分かれる。自動車業界は日本車の輸入拡大による被害が懸念される。現代自動車関係者は「日本者に対する関税(8%)が引き下げられるか撤廃されれば、日本車の輸入が大幅に増え、韓国の自動車関連産業が崩壊しかねない」と述べた。

 繊維業界はTPP加盟で産業競争力が高まる見通しだ。韓国産の原材料をベトナムに輸出した後、現地工場で完成品を生産し、米日などに輸出すれば、TPPの特恵関税が適用されるためだ。TPP加盟国間で原材料の移動、製造を優遇する「累積原産地規則」が適用されるためだ。電子、ディスプレー、半導体分野でもベトナム、マレーシア、メキシコなどへの輸出拡大が期待される。

■ISDなどの影響は限定的

 TPPは米日が主導しているだけに、既存のFTAや世界貿易機関(WTO)の協定に比べ高い水準の通商・投資関連のルールを盛り込んでいる。しかし、韓国は既に米国、欧州連合(EU)など先進経済圏とFTAを結んでおり、免疫力を高めてきたため、大きな打撃は受けないというのが通商専門家の見方だ。

 韓米FTA締結当時、最大の争点となった「投資家・国家間紛争(ISD)条項」はTPPにも盛り込まれた。ISDは海外の投資家が相手国の法令で被害を受けた場合、国際仲裁を通じ、損害賠償を受けられる制度だ。しかし、「企業の利益ばかりを保護する」との批判があり、TPPではたばこなど公共衛生を阻害する企業をISDの適用除外とした。

 TPP協定文は国営企業に関連し、「国営企業が商業活動を行う場合に優遇してはならない」と規定している。このため、韓国電力公社、韓国ガス公社など政府系企業にも影響を与えるとの見方がある。しかし、産業通商資源部高官は「国家の経済的危機状況、各国の特殊状況により、TPPの規定適用を受けない政府系企業を指定することができ、韓国では大きな問題にはならないとみている」と話した。

崔賢黙(チェ・ヒョンムク)記者 , ユン・ヒョンジュン記者
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