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でも、私はずっと好きでいる

雑談

今週のお題「結婚を決めた理由」

 

妻がいま実家に帰っているから書ける話。

 

彼女とは、大学時代の部活で知り合った。

好奇心が旺盛で、極端に口下手な人だった。

でも、お互いに自然体で話ができて、すごく気楽に一緒にいれる人だった。

数年にわたる紆余曲折のあと、付き合うことになった。

お互いに、初彼氏・初彼女だった。

大学卒業と同時に、高速バスで片道1時間ちょっとの距離に別々に就職した。

 

働き出すと忙しくて、休みもほとんどなくて、だから行き来もできなくて、連絡も途絶えがちになった。

それでなくても元来メール無精の彼女は、仕事が忙しいと音信不通になりがちだった。

ただ、長い付き合いで性格は分かってたから、浮気はしていない、という妙な確信?信頼?だけはあって、疑心暗鬼になったりはしなかったけど。

本人曰く、「私はこの現代社会に向いていない」らしい。

もっとも、だからと言って短歌や手紙が来るわけでもない。

 

互いに会いに行けない、メールは帰ってこない、電話は通じない、という状況がしばらく続いて、何かの拍子についに僕は切れた。

電話でなんやかんや文句を言ってて、喧嘩になって「そのうち、こっちで好きな人が出来ちゃうかもしれないよ?」って思わず口走ってしまった。

(もちろん、駆け出しの新米でそんな余裕はないのだけれど…。)

 

すると、彼女はちょっと泣きそうな声で、こう言った。

「でも、私はずっと好きでいる」

なんかその言葉を聞くと、なんか負けたなぁって気分になって怒りがみるみる萎んでいった。

 

そのあと、別に彼女がマメになったり連絡がよく来るようになったりは結局しなくて、

やっぱり同じような事で何度か喧嘩は何度かしたけれど、

あの時の「でも、私はずっと好きでいる」がずっと碇のように心に残ってて、別れようとは思わなかった。

 

社会人2年目でなんとか結婚できて、彼女は妻になった。

それからも仕事からなかなか家に帰ってこない妻と、時々同じような喧嘩をしながらも概ね平穏な結婚生活を送っている、と思う。

 

一緒に笑ったり、一緒に泣いたり、いろいろとあったけれど、

今、妻は大きくなったお腹を労わるために自分の実家に帰って、せっせとで赤ちゃんの洋服を作っている。

あと少ししたら生まれる娘が思春期になったら、いつかこんな話をしてみたい。

「お母さんより綺麗な人はいたかもしれないけど、お母さんよりも性格のいい人はいなかった。」