【ソウル聯合ニュース】韓国製の無料通信アプリ「カカオトーク」の運営会社「ダウムカカオ」が6日、昨年10月には応じないと明言していた捜査当局の監聴令状(特定の利用者の通信内容を記録して捜査機関に提出するよう命じる令状)に今後は協力していくとの方針を明らかにし、同アプリのユーザーが減少する懸念が高まっている。
関連業界はすぐにユーザーの急減にはつながらないとする一方で、今後注視していく必要があるとの見方を示している。
同社は捜査対象でないユーザーを匿名処理する機能により、従来と異なり、利用者のプライバシー侵害を最小化したと強調したものの、同機能の効力についての懸念の声も出ている。
◇カカオトーク離れ…影響は微小か
昨年、検察による同アプリのリアルタイム傍受が問題になり、一部では会話内容の解読が不可能とされるドイツ製のアプリ「テレグラム」に乗り換えるユーザーが増えるとの見方が広まった。
検察が検閲強化計画を発表した直後から1週間で、テレグラムの韓国での利用者は2万人から25万人に増加。韓国アップルストア無料アプリカテゴリーのダウンロード数ランキングでカカオトークを抜いて1位になった。
しかし実際にはカカオトーク利用者の使用量は変動せず、緩やかな増加を維持した。またテレグラムの使用量も増加せず、好奇心により一時的にダウンロード数が増えただけと分析された。
業界では同社の方針変更について、カカオトークは韓国人の日常生活に深く入り込んでいることもあり、批判は受けても実質的な打撃は受けないと予想している。
ダウムカカオ関係者は「メッセージのサーバー保存期間の短縮、秘密チャットモードの導入、透明性のある報告書の公開など、プライバシー保護のための一連の努力が利用者にうまく届くよう期待する」と話した。
◇匿名処理の効果…代案は「秘密チャット」
ダウムカカオが監聴令状に協力する方針を明らかにした際、最も強調したのはグループチャットルームでは捜査対象者以外を匿名処理して対話内容を提供するという点だ。
しかし匿名処理した利用者についても、捜査機関が犯罪に関与した疑いがあると判断すれば、手続きを取って通信資料を受け取ることができるため、以前と変わっていないとの指摘も出ている。
プライバシーの侵害を懸念する利用者が同アプリで効果を得られるのは「秘密チャット」機能だ。
秘密チャット(個人・グループ)機能を利用すると、会話内容全体が暗号化され、これを解読する暗号キーがサーバーではなく利用者のスマートフォンに保存される。そのため捜査機関が各ユーザーのスマートフォンを押収しない限り、会話内容を検閲することはできない。
また秘密チャットでは、会話の参加者全員がメッセージを読むと、メッセージがサーバーから自動的に削除されるため、捜査機関は確認することができないという。ただし、秘密チャット機能はモバイル版のみで利用可能で、パソコンでは使うことはできない。
カカオトークの世界全体での利用者は13年に1億人を超え、現在は約1億7000万人に達するとされる。