TPP大筋合意:7年ためらった韓国政府が事実上「加盟宣言」

 「TPP参加のボールは韓国側にある」(許允=ホ・ユン=西江大国際大学院長)

 米国、日本、オーストラリアなどTPP創設12カ国は5日、過去最大の自由貿易協定(FTA)である環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で大筋合意に達し、韓国の尻に火がついた。

 アジアの経済・安全保障同盟の主軸である米国と日本が主導する自由貿易圏を無視することはできないからだ。韓国政府はこれまでの消極的態度から脱却し、TPP加盟に積極的に乗り出している。チェ・ギョンファン経済副首相は6日、「どんな形であれ、メガFTAであるTPPに参加する方向で検討する」と述べた。専門家は韓国政府による事実上の「加盟宣言」だと受け止めている。

 しかし、TPP参加は容易なことではない。後発加盟国には多くの譲歩が求められ、農産物市場の追加開放など「参加コスト」を払わなければならない状況も予想される。日本に押される自動車、精密機械などの分野では産業界の反発も見込まれる。加盟時期も12カ国の承認手続きが終わる2017年半ば以降になる。

 とはいえ、米国が肯定的なシグナルを送っていることは追い風だ。6日に韓国入りしたトニー・ブリンケン米国務副長官は、尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部(省に相当)長官を表敬訪問後、韓国のTPP加盟問題について、「きょう簡単な話し合いを行った。韓国とこの問題を話し合う機会を持つことを歓迎する」と語った。

■「TPP加盟は必須」

 専門家は「TPP加盟は貿易依存度が高い韓国にとって選択ではなく必須だ」と指摘する。TPPから除外されれば、世界の国内総生産(GDP)の40%を占めるTPP市場で日本市場に後れを取ることになる。

 特に累積原産地規則は痛手だ。同規則はTPP参加国で生産された原材料を自国産と認定し、特恵関税を適用するものだ。例えば、日本で生地を作り、ベトナムで生産した衣料を米国に輸出すれば、最高32%の関税はかからないが、韓国産の生地をベトナム工場で加工し、米国に輸出する場合にはTPP特恵関税は適用されない。

 コメをはじめとする農産物市場の開放はセンシティブだ。チェ副首相は同日の国会で、「TPP加盟を決定する場合、コメを譲許対象から除外するというのが政府方針だ」と説明した。しかし、TPPの最終交渉で日本が米国にコメ市場を開放したため、韓国の農民による懸念は依然強い。酪農市場の開放も韓国には負担だ。

■韓国加盟、早いほどよい

 TPPへの加盟時期と戦略を細かく検討すべきだとの声がある。現在TPP加盟を希望している国・地域はタイ、インドネシア、フィリピン、台湾、コロンビアだ。

 韓国が初期のTPP交渉に加わらず、タイミングを逃したという指摘について、チェ副首相は「08年に米国がTPP参加を宣言した際には韓国が米国とFTAで合意でしていた上、中国とのFTA交渉を進めていた状況だった。当時の李明博(イ・ミョンバク)政権はそれに集中するのが望ましいと判断した」と説明した。

李仁烈(イ・インヨル)記者
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