TPP大筋合意:「中国崛起」防ぎたい米国、逆襲狙う中国

 米国、日本など12カ国が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で大筋合意に達し、米国と中国という二大国による覇権争いが軍事、領土を超え、世界経済を舞台にさらに激しく展開されそうだ。中国は米国主導のTPPが自国の新シルクロード戦略である「一帯一路」と対立し、被害が生じることを懸念している。一方、米国はオバマ大統領が交渉合意直後の声明で「中国のような国に世界経済のルールを書かせることはできない」と述べ、自信感を示した。

 オバマ大統領はこれまで重要課題にTPPを掲げてきた。「アジア重視」政策の核心となるためだ。TPP合意に向け、「米国が21世紀の新たな貿易ルールをつくるべきだ」と繰り返し強調し、中国を意識した攻勢であることを隠さなかった。中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)を主導し、それに米国の一部同盟国が加わると、米国は日本との新たな安全保障同盟とTPPという経済同盟という両翼を完成させ、アジア太平洋地域で力を蓄える中国の崛起(くっき)を阻止し始めた。

 しかし、TPP合意というオバマ大統領の功績は米国内を揺るがせている。マーケットウォッチは専門家の話として、「TPPが発効すれば、製薬業、製造業ではマイナスの影響の方が大きい」と分析した。特にユーラシア・グループのイアン・ブレマー会長は「製造業の雇用が減少しかねない」と懸念した。また、来年の米大統領選を控え、有力候補もTPPに反対している。民主党の大統領候補争いでヒラリー・クリントン前国務長官を追い上げるバーニー・サンダース上院議員(無所属)は「災害的な協定だ」とし、「協定破棄のためにあらゆることをしていく」と述べた。共和党で候補争いをリードするドナルド・トランプ氏も「大統領と政府、議会の無能、不正直さが米国の雇用と生計を危機に追い込む」と批判した。

ワシントン=ユン・ジョンホ特派員 , 北京=アン・ヨンヒョン特派員
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