年間約1兆円の市場規模を誇るカラオケの著作権使用料が受け取れる−。カラオケの「生みの親」とされる兵庫県西宮市の会社経営者、井上大佑氏(75)が書いた文章の著作権をめぐり、虚偽の説明で購入金額をだまし取られたとして、大阪府警が著作権購入を勧誘した営業担当者を詐欺容疑で捜査していることが明らかになった。「人生最後の社会貢献がしたい」。井上氏は長年、「大ちゃんランド」なる福祉施設をつくる夢を抱き、著作権ビジネスで得た資金を元手に夢を実現しようと、危うい「もうけ話」に乗ったという。本人は「被害者」と強調するが、世界的なイグ・ノーベル賞も受賞した著名な?発明家?にしては余りに脇が甘すぎたようだ。
「著作権を譲渡された方は、私の死後50年は権利が発生する」
「おそらく何千億円のお金が受けられる」
木々に囲まれた豪邸のウッドテラス。一人の男性が10匹近い愛犬に囲まれ、ひざに乗せた小型犬をなでながら雄弁に語った。
「私の夢に賛同するいろんな人に協力してもらい、ペットで人の心を癒やす夢が実現できるところまできた」
笑顔でそう締めくくり、DVDの映像は終わる。この男性こそ、井上氏だ。
大阪市の50代男性は平成22年の夏、JR大阪駅近くのホテルのラウンジでスーツ姿の男性に会った。著作権を販売する代理店の営業担当者だった。
「150万円で井上さんのカラオケ著作権を買えば、来年には1口250万〜300万円まで値上がりする。配当も年間50万円が見込まれる。販売は信頼できる客にしかしない」。映像を見せながら購入を提案された。
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