米でいじめの割合が減少、「反いじめ法」の効果を確認
日本だけでなく世界中で問題になっている「いじめ=暴力」。しかしアメリカでは近年、その割合が減少傾向にあるという報告がされている。
学校内での暴力やネットいじめも減少
このデータを示したのは米教育省の全国教育統計センター。それによれば過去10年間に渡って28%だった暴力の割合が、2013年の調査では22%となり下降し始めたという。
これを受け、減少の原因を突き止めるためコロンビア大学の研究者らが調査を開始。Youth Risk Behavior Surveillanceというアンケートに協力した高校生、6万3635人からの回答を集めた。
その上で25州のデータと比較。教育省のガイドラインに準じた各州の「反いじめ法(Antibullying Policies)」が、通常の暴力や「ネットいじめ」の低下に大きな影響を及ぼしていると結論付けた。
学校は生徒の安全を保障、報告義務も
アメリカの「反いじめ法」とは、学校ごとにいじめを防止する計画や指針を制定するよう指示したもので、現在ほとんどの州でこの法律を採用。校内で生徒の安全が保障されることを明確化し、各学校には報告も義務付けている。
どの州も「いじめは程度を問わず許されない」「校長がいじめ防止に責任を持つ」「いじめに対応する訓練を行う」という基本理念を共有しており、法に強制力を持たせる規定も設けられているそうだ。
法律で有効に機能した3つの点とは
特に研究者らは、各州の法律の中で有効に機能した3つの要素を特定。1つ目は暴力が家や校庭などで発生した時に、どこまで学校が調停すべきかその範囲を明確に記述していること。2つ目は「いじめ」をしっかりと定義づけたこと。
3つ目は各地域の学校に対し指針の要件や、それをいつまでに策定すべきかというスケジュールに関する必要条件をしっかり規定したことだという。
さらに州の指針に関する交流や、学校関係者に対するトレーニング、暴力を受ける可能性の高い生徒の詳細なリスト作成、などもいじめ抑制につながっていると指摘している。
日本でも2013年にいじめ防止対策推進法が制定され、地方自治体に対策の基本方針を定めるよう求めている。大阪府教育委員会は、いじめを隠ぺいした教職員を懲戒解雇にするという規定を設けた。このような法律が現場で機能をすることを期待したい。
- 出典元:Associations Between Antibullying Policies and Bullying in 25 States - JAMA Pediatrics(10/5)