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朝日新聞は9月22日朝刊の「安保法 自衛官OBの懸念」と題した記事で、こう報じた。
《(海自OBが)心配するのは今後、自衛隊への入隊希望者が減ることだ。「災害救助にも自衛隊は絶対に必要。法律によって戦死する恐れが増せば、入隊者は確実に減る」》
さすが朝日新聞。行間に「入隊希望者が減る」から徴兵制になると匂わせながらも言質を与えない。私には、巧妙な筆としか思えない。
記事は私の意見や実感と正反対だ。「自衛隊への入隊希望者が減る」というが、昨年の閣議決定以来とくに減っていない。「戦死」というが、私が「懸念」する国連PKO活動での殉職を、現場の誰もそうは呼ばない。
朝日新聞は9月21朝刊1面でも、山中季広・特別編集委員が論説コラムをこう書き出した。
《後世の人々が「2015年安保」をネットで検索したら、首相の写真よりSEALDs(シールズ)のデモ映像の方が多く見つかることだろう。「立憲主義って何だ」「戦争したくなくてふるえる」。戦地へ送られかねない世代の憤りをみごとに可視化した》
ここでも、言質を与えない巧妙な筆で徴兵制を匂わせている。
本来なら言うまでもないが、シールズの学生が「戦地」へ送られる可能性など微塵もない。「戦地へ送られかねない」のは自衛官である。私の元部下や後輩諸君、私の娘らであり、その「世代」を問わない。中高年でも派遣される。むしろ教育訓練期間中の若い「世代」よりも派遣される可能性が高い。朝日の「報道」は事実とかけ離れていると思う。
山中編集委員はこうも書いた。