米国・日本など太平洋沿岸12カ国が参加する世界最大の多国間自由貿易協定「環太平洋経済連携協定(TPP)が大筋合意に達した。米アトランタで先月30日(現地時間)に始まったTPP参加国閣僚会議は予定されていた四日間を超過してのマラソン交渉の末、医薬品特許保護期間・酪農品輸入拡大・自動車部品関税撤廃などの争点について最終的に合意に至った。
TPPに参加している12カ国の国内総生産(GDP)規模は全世界の40%に達する。TPPが発効すれば、その経済規模は欧州連合(EU)の1.5倍という世界最大の経済共同体が誕生することになるだろう。TPPは米国と日本が手を握り、中国の影響力拡大に対抗するという政治的・地政学的な意味合いも大きい。
韓国は貿易依存度が高く、他のどの国よりも開放を率先して行うべき国だ。しかし、2年前にもたついていた間にTPP参加の機会を逃してしまった。TPP合意の可能性が高まったのは2013年初めに朴槿恵(パク・クンヘ)政権が発足して以降だった。韓国は当時、部処(省庁)間の意見の相違や野党・市民団体の反発を理由に判断を先送りしていたが、同年11月29日になって玄オ錫(ヒョン・オソク)経済副総理=当時=が「既存参加国と予備協議をする」と発表した。だが、米国通商代表部(USTR)は「韓国は既存参加国との交渉が終わってから参加するべきだ」と遠回しに韓国の参加を遮った。日本は13年3月にTPP参加を正式に宣言して交渉を主導、世界最大の経済共同体誕生の立役者となった。
TPPが発効すれば、自由貿易協定(FTA)の優等生として韓国が享受してきた恩恵は目減りを免れない。その一方で、日本は米国・メキシコ・オーストラリアなどTPP参加国との貿易が活発化する恩恵にあずかれると見られている。それでも韓国国内では財界を中心に「日本に市場を解放するのは時期尚早だ」という慎重論が根強く残っている。日本車の関税(8%)がなくなると自動車市場を奪われる恐れがあるし、部品素材産業も韓国の方が劣勢だというのだ。農業分野の反発も少なくない。