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【正論】
力の誇示に頼る中国外交の限界 京都大学大学院教授・中西寛
《思惑はずれたシナリオ》
9月3日の抗日戦勝記念式典で先の大戦での戦勝国としての立場を印象づけ、下旬にはアメリカに乗り込んでオバマ大統領と新大国間関係を宣言し、今後15年間の「持続可能な開発目標(SDGs)」を採択する国連サミットの場では途上国の代表としての地位を確認する。中国の外交当局が9月の前に描いたのはこうしたシナリオだったと想像される。
形の上ではこのシナリオは実行に移された。しかしその結果は事前の思惑とはかなり異なるものとなったように見える。
抗日戦勝記念式典では、プーチン露大統領、朴槿恵韓国大統領、潘基文国連事務総長が出席したものの、大半の首脳は中国の近隣国および関係の深い途上国からで、大戦での勝者としての中国の立場を国際社会が確認したとは言いがたい状況だった。
彼らの前を行進した新鋭兵器の数々も、軍事専門家の興味を惹(ひ)いたとはいえ、驚きを与えるほどではなく、戦勝した大国としての余裕というより、国際社会に対して身構える姿勢を感じさせる内容であった。
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